保育園設立の補助金とは?|施設準備から運営まで段階ごとの補助金を解説

保育園を設立・運営するにあたり、設立準備や施設整備のために補助金が交付されることをご存じでしょうか。この記事では、保育園の設立を検討している方や、補助金について知りたい方に向けて、補助金の種類や内容について事例を交えて詳しく解説しています。保育園設立や運営のコストを抑えるために、ぜひ参考にしてください。

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保育園の種類

保育園は大きく分けて、認可保育園と認可外保育園の2種類があります。
以下でそれぞれについて解説します。

認可保育所

認可保育所とは、国が定める設置基準で運営する保育施設のうち、都道府県知事の認可を得て運営している施設です。入園を希望する場合は、自治体を通して申請を行います。
認可保育所にもさまざまな種類がありますので、下記で解説します。

認可保育園

0~5歳児の未就学児を対象とした保育施設です。両親ともに就労や病気などで家庭での保育ができず、保育施設での保育の必要性があると認められた児童を対象としています。

認定こども園

保育と幼児期教育のどちらも行う施設で、幼稚園と保育園の特性を併せ持った施設です。0~2歳児は、保育の必要性があると認められた場合に利用可能です。3~5歳児は保護者の就労状況などに関わらず幼児期教育を受けることができ、さらに保育を必要とする場合は夕方までの保育が可能です。

小規模保育園

0~2歳を対象とした、定員6~19人の小規模な保育施設です。低年齢の児童の保育需要に速やかに応え、待機児童の解消を図る狙いで普及が進められています。平成27年より「子ども・子育て支援新制度」にて「小規模認可保育園」として位置付けられています。

事業所内保育園

企業が事業所内やその近隣に保育園を設置するもので、自治体の認可を得て従業員の子どもや保育を必要とする近隣地域の子どもを保育します。対象年齢は0~2歳、定員は6~19人となります。

家庭的保育事業

自治体が実施する研修を受けた家庭的保育者の自宅や保育室で0~3歳の保育を行います。家庭的保育者は、保育士や保育士と同等以上の知識・技術を持つことが認められた者となります。

居宅訪問型保育事業

ベビーシッターや保育士が子どもの自宅を訪問して保育を行う事業です。0~3歳の保育の必要性がある子どものうち、障害や病気で保育園に行けない、近隣の保育園が閉鎖してしまったなどで保育が利用できなくなった子どもを対象としています。

認可外保育所

前述の、認可保育所以外の保育施設が認可外保育所となります。

認証保育所

自治体の一定の基準を満たした認可外保育施設を認証保育所といいます。待機児童問題解消のために、自治体が独自に設けた制度で、基準設定や施設の認証も自治体が行います。

企業主導型保育事業

企業主導型保育施設とは国が行う「企業主導型保育事業」により、認可外でありながら補助金の交付を受けられる保育施設です。企業が従業員の子どもの保育のために設置する施設ですが、近隣地域の子どもたちの保育も可能です。

保育園の設立にかかる費用とは?

保育園の設立にかかるさまざまな費用について、下記で解説します。

不動産取得費

不動産取得費は、保育園の建物、施設の取得や賃借にかかる費用となり、通常の不動産と同様に立地や物件によって価格は異なります。
保育園を設立するには、施設の設置基準や指導監督基準をクリアする必要があります。

内装工事費

保育園にふさわしく、安心・安全を大前提にしつつ子どもたちが楽しく過ごせる内装にする費用です。内装工事費には工事そのものの費用だけでなく、デザインや素材にかかる費用も含まれます。

備品・消耗品費

子どもたちが使うテーブル・椅子などの家具や、おもちゃ、絵本、散歩車にかかる費用のほか、保育士やその他職員が使用する事務用品、掃除用具、電化製品などにかかる費用が該当します。

広告・宣伝費

園児数を確保するために、園の広告・宣伝をするための費用です。チラシ・ポスター・パンフレットなどの製作費や、ホームページ開設・運用費、SNSの運用費などが含まれます。

保育園の設立で受けられる補助金とは?

認可保育園には、国や自治体から補助金が交付されます。保育する子どもの年齢や人数に応じて支給される補助金のほか、保育所等整備交付金、家賃補助などを受け取ることができます。補助額や要件は自治体によって異なります。

設立費用への補助金

設立費用への補助金として、国からの「保育所等整備交付金」が挙げられます。保育所等整備交付金は、保育園の新設、整備にかかる経費や、防音・防犯対策の強化にかかる費用の一部を補助するものです。このほかに、自治体独自の補助金や、要件が合致すれば通常の補助金に金額を上乗せする場合もあります。

文京区の場合

自治体独自の補助金の例として、文京区の事例を解説します。文京区では、区独自の補助制度を設けて保育施設の増大を図っています。
区独自の補助内容としては、保育園の設立の際に調達する備品費用への補助、開園にあたっての研修などに係る人件費の補助があります。また、区独自の上乗せ補助としては、保育園の開設から10年間の賃借料補助や防音対策設備に対する補助などがあります。

保育施設整備への補助

文京区が行う独自の保育施設整備補助には、自己所有物件の本体工事費、賃貸物件の内装工事費、設計委託費、礼金を含む賃借料など建物への補助や、認可保育所への移行にかかる経費への補助などがあります。近年の海外産木材の価格高騰など、建築資材の高騰に対しては加算で対応しています。補助率は対象経費の実支出額か補助基準額のどちらか少ない額の16分の15となります。

開設準備経費の補助

文京区の保育園開設経費の補助としては、保育園開設に必要な備品等の購入費用を補助する「初度調弁補助」や、開設に向けた研修等に係る人件費への補助である「研修費等事前準備人件費補助」があり、それぞれ補助率は対象経費の実支出額か補助基準額のどちらか少ない額の16分の15となります。
加えて、緊急通報装置「学校110番」の設置費用に対して、1施設あたり300,000円を上限に全額補助されます。

賃借料への補助

文京区が行う賃借料への補助には、保育園開設前と開設後に受けられるものがあります。
保育園開設前には、認可保育園と小規模保育園に対して礼金を含む施設賃借料が補助されます。補助率は対象経費の実支出額か補助基準額のどちらか少ない額の8分の7となります。
保育園開設後には、文京区独自の上乗せ補助として、保育園開設から10年間の賃借料が補助されます。補助率は対象経費の実支出額から賃借料加算額を引いた額か、補助基準額のどちらか少ない額の8分の7となります。

運営費への補助金

認可保育園は運営費に対しても補助金が交付されます。運営費は保育料と補助金から成り立ち、補助金額は保育している児童の年齢や人数に応じて決定します。保育する児童の年齢が低いほど1人あたりの補助額が高くなるのが特徴です。

補助金の計算方法

認可保育園が受け取れる運営費への補助額は、「公定価格」から保育料を引くことで求められます。公定価格とは、国が定める子ども1人あたりの保育にかかる単価で、保育児童の人数、年齢、定員、職員の勤続年数などに応じて変動しますが、後に解説する「基本分単価」と「各種加算」を合計することで求められます。

基本分単価

基本分単価とは、子ども1人を保育するために必要な月額費用を指し、子どもの年齢、人数、地域などによって金額が変化します。内訳としては、人件費、事業費、管理費などが挙げられます。子どもの年齢が低いほど保育にかかる各種費用が高いため、基本分単価も上がります。

各種加算

園の取り組みや保育サービス内容に応じて補助金の加算があります。
例えば、職員の処遇改善、療育支援、休日保育、給食実施などに対して加算されます。

ICTシステム導入への補助金

近年では、保育士や職員の負担軽減や業務効率化を目的として、国や自治体よりICTシステム導入への補助金が交付されています。保育日誌の作成、指導計画案の作成、登降園管理、保護者との連絡機能など、補助金の交付を行う機関が指定する要件をクリアしたシステムの導入費用に対して補助されます。

認可外保育所への補助金

以下では、認可外保育所への補助金について解説します。

企業主導型保育事業への補助金

前述したとおり、企業主導型保育施設は、認可外でありながら補助金の交付をうけられる保育園です。運営費・設備費・施設利用給付費など、認可保育園と同水準の補助金を受け取れます。

IT導入費への補助金

認可外保育所が受け取れる補助金として、保育事業のみならず、中小企業・小規模事業者を対象とした経済産業省管轄の「IT導入補助金」があります。業務効率化を目的とするITソフトウェア導入と導入関連費用が交付対象となります。スマートフォンやタブレット、パソコンなどの機器は補助対象外となります。

働き方改革推進支援助成金

労災の適用事業主で、年5日の年次有給休暇取得に向けた就業規則等を整備している中小企業事業主が受け取れる補助金が「働き方改革推進支援助成金」です。
管轄は厚生労働省で、こちらも保育事業以外の事業主も受け取れる補助金となります。以前は「時間外労働等改善助成金」という名称でしたが、令和2年よりこの名称に変更となりました。
労働時間の縮減や年次有給休暇の取得促進を目指すもので、指定の成果目標を設定し、達成状況に応じた金額を受け取ることができます。

保育園設立の補助金を申し込む方法は?

認可保育園は、各自治体の担当窓口に申請を行います。
この記事で紹介したほかの補助金申請窓口はそれぞれ、企業主導型保育事業の場合は企業主導型保育事業ポータルサイト、IT導入費はIT導入支援事業者から送付される申請用ページ、働き方改革推進支援助成金は都道府県労働局となっていますので、交付を希望する補助金ごとに窓口が異なる点に注意しましょう。

まとめ

今回は、保育園の設立から運営にわたって受け取れる補助金の種類や内容について、事例を交えて解説しました。近年は、保育士や職員の負担軽減や業務効率化、待遇改善促進のために国や自治体が補助金を交付しています。
補助金を活用してICTシステムを導入することで労働環境が改善されると、その結果をもって補助金の加算や働き方改革推進支援助成金の交付につながります。

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