
「幼稚園教諭免許の更新って、もうしなくていいの?」と疑問に感じている方もいるでしょう。教員免許更新制度は2022年7月に正式に廃止され、免許状の取り扱いにも大きな変化がありました。
本記事では、制度廃止の背景や有効期間の考え方、免許状の種類ごとの取り扱い、失効や休眠状態からの再授与申請の流れなどを解説します。
目次
【結論】幼稚園の教員免許更新制は2022年7月に廃止

幼稚園教諭免許の更新制度は、2022年7月に正式に廃止されました。この制度は、2009年4月1日に導入され、教員が一定の期間ごとに免許を更新することを求めるものでした。
導入当初は、教員の資質向上や教育の質の確保を目的としていましたが、時代の変化とともにその必要性が見直されるようになりました。
廃止の背景には、教員の負担軽減や、教育現場における人手不足の解消が挙げられます。更新制度があることで、教員は定期的に手続きを行う必要があり、その手間が教育活動に影響を与えることもありました。
また、更新手続きが煩雑であるため、免許を持ちながらも更新を行わずに失効してしまうケースも多く見られました。
このような状況を受けて、教育現場のニーズに応じた柔軟な対応が求められるようになり、結果として教員免許更新制度は廃止されることとなりました。これにより、教員は免許の有効性を気にすることなく、教育に専念できる環境が整うことが期待されています。
あなたの免許状はどうなる?ケース別・有効期間の考え方

教員免許更新制の廃止に伴い、自身が取得した幼稚園教諭免許状の取り扱いについて確認する必要があります。特に、免許状が新しいものか旧免許状なのか、また2022年7月1日を基準として有効期間が前か後かによって、取り扱いが異なるため、注意が必要です。
ケース1:2022年7月1日現在で有効な免許状を所持している方
2022年7月1日現在で有効な幼稚園教諭免許状を所持している方にとって、重要なポイントはその有効期間です。この日以降に有効な免許状を持つ方は、教員免許更新制度が廃止されたことにより、今後の更新手続きが不要となります。
つまり、免許状の有効期間が設定されていないため、安心して教育現場での活動を続けることができます。
ケース2:免許状を取得したのが2009年4月1日以降の方
2009年4月1日以降に幼稚園教諭免許状を取得した方については、免許状の有効期間に関する取り扱いが異なります。まず、有効期間の満了日の最も遅い日付が2022年7月1日以降であれば、その免許状は期間がなく有効とされ、更新手続きは不要です。
一方で、有効期間の満了日が2022年7月1日より前である場合、注意が必要です。この場合、有効期間の満了日の2ヵ月前までに更新手続きを実施しなかった場合、免許状は期間到来をもって失効となります。
失効した免許状を再び有効にするためには、再授与申請を行う必要があります。
ケース3:2009年3月31日以前に免許状を取得した方
2009年3月31日以前に幼稚園教諭免許状を取得した方は、現在「旧免許状所持者」となり、有効期間は設定されていません。このため、更新手続きは不要ですが、いくつかの注意点があります。
まず、旧免許状を所持している方の中には、「休眠」状態にある方もいます。休眠状態とは、教員としての職務を行っていないが、免許状を保持している状態を指します。
この場合、以下の条件に該当する方に関しては、現在所有している免許状は、2022年7月1日以降は有効です。
- これまでに更新等手続をしたことがない方
- 更新等手続をしたことがあるが、2回目以降の有効期限(修了確認期限)の2ヵ月前までに更新等手続を行わなかった方
かつ
- 教員経験が一度もない方
- 教員経験はあるが、有効期限(修了確認期限)到来時には教員でなかった方
休眠状態とは?
休眠状態とは、旧免許状を取得しているものの、現職で教員として働いていない状態のことです。(現職・非現職の判定は有効期限の日満了時点。)なお、以下に該当する方は、現職教員に含まれます。
- 産前・産後休暇
- 育児休業
- 介護休業
- 病気休職、休暇、休業、休職中など
幼稚園教諭免許状が失効または休眠状態の場合の再授与申請の方法
幼稚園教諭免許状が失効状態にある場合、再授与申請を行う必要があります。以下にその手順を解説します。なお、再授与手続きは都道府県によって提出書類が異なる場合もありますので、ご注意ください。
- 都道府県の教育委員会に連絡し、失効となった旧免許状を返納する
- 都道府県の教育委員会に再授与関連書類を提出する。その後、免許状の再授与申請を行う
- 再授与された免許状を受け取る
幼稚園教諭免許状の更新制度が廃止になったことのメリット

幼稚園教諭免許状の更新制度が廃止されたことによるメリットをご紹介します。
新免許状を所持している場合の更新は不要
幼稚園教諭免許の更新制度が廃止されたことにより、新免許状を所持している方にとっては、更新手続きが不要となりました。具体的には、2022年7月1日以降に有効な免許状を持つ教員は、今後の更新を心配する必要がなくなります。
免許状が失効または休眠状態でも復帰しやすい
幼稚園教諭免許の更新制度が廃止されたことにより、失効や休眠状態にある免許状を持つ方々にとっても、復帰の道が開かれました。
保育士が認定こども園で働きやすくなる
幼稚園教諭免許の更新制度が廃止されたことにより、保育士が認定こども園で働く際のハードルが大きく下がりました。
認定こども園での勤務には、保育士資格だけでなく幼稚園教諭免許も必要ですが、これまでの更新制度では免許の有効期限が問題となり、資格を持っていてもその期限が切れてしまうことで、実際に働くことができないケースが多く見受けられました。
しかし、更新制度が廃止されたことで、今後は有効期限を気にすることなく、資格を活かして認定こども園での勤務が可能になります。これにより、保育士の人手不足解消にも寄与することが期待されています。
これから幼稚園教諭免許を取得するには

幼稚園教諭免許を取得する方法は、主に三つのルートがあります。それぞれのルートには特徴があり、取得できる免許状の種類も異なりますので、自分に合った方法を選ぶことが重要です。
4年制大学に通って取得する
幼稚園教諭免許を取得するための一般的なルートの一つが、4年制大学に通うことです。多くの大学では、幼児教育に特化した学部や学科が設置されており、専門的な知識と技術を学ぶことができます。
4年制大学で取得できる免許状には、主に「幼稚園教諭一種免許状」があります。幼稚園教諭一種免許状は、幼稚園での教育を行うために必要な資格であり、幼稚園で園長を目指す場合に必要です。
また、4年制大学では、実習やフィールドワークを通じて、実際の教育現場での経験を積むことができるため、卒業後すぐに現場での業務に対応できる力を養うことができます。
短期大学や専門学校で取得する
幼稚園教諭免許を短期大学や専門学校で取得することは、多くの学生にとって魅力的な選択肢です。これらの教育機関では、幼児教育に特化したカリキュラムが組まれており、実践的なスキルを身につけることができます。
大学院で博士課程や修士課程を修了し取得する
幼稚園教諭免許を取得するための一つの方法として、大学院での博士課程や修士課程の修了があります。このルートを選ぶことで、より専門的な知識や教育技術を身につけることができ、幼児教育の分野でのキャリアを大きく広げることが可能です。
大学院での学びを通じて、幼児教育に関する理論や実践的なスキルを深めることができ、特に主任教諭や園長といったリーダーシップポジションを目指す際に有利になります。
修士課程を修了することで、教育現場での実践的な経験を積むことができ、さらに博士課程に進むことで、研究者としての道も開かれます。
また、大学院での学びは、幼児教育の指導者としてのキャリアパスを明確にするだけでなく、教育政策やカリキュラム開発に関与する機会も増えます。
これにより、教育現場における影響力を持つことができ、より良い教育環境の構築に貢献することが期待されます。
このように、大学院での学びは、幼稚園教諭としての専門性を高めるだけでなく、将来的なキャリアの選択肢を広げる重要なステップとなります。
参考:幼稚園教諭を目指すための資格とは?種類や取得方法・各ルートの特徴まで徹底解説!
幼稚園教諭免許の更新でよくある質問
幼稚園教諭免許の更新制度が廃止されたことに伴い、多くの方が疑問を抱いていることと思います。ここでは、特に寄せられることの多い質問をいくつか取り上げ、わかりやすく解説していきます。
Q1. 幼稚園教諭免許の更新をしていないとどうなるの?
更新制度が廃止されたため、現在有効な免許状を持っている方は、更新手続きを行う必要がなくなりました。したがって、更新をしていないことによるペナルティは存在しません。
Q2. 幼稚園教諭免許の更新についてどこに問い合わせればよいの?
各都道府県の教育委員会や、免許状を発行した学校に問い合わせることが推奨されます。具体的な手続きや不明点について、専門の担当者が対応してくれるでしょう。
Q3. 幼稚園教諭免許の更新制廃止はいつから?
幼稚園教諭免許の更新制度は、2022年7月1日をもって正式に廃止されました。この制度は、2009年4月1日に導入され、教員免許を持つ者が一定の期間ごとに更新手続きを行うことを求めるものでした。
しかし、長年の運用を経て、教員免許更新制度にはさまざまな課題が浮き彫りになりました。特に、教員の負担や、更新手続きに伴う煩雑さが問題視されていました。
Q4. そもそもなぜ幼稚園教諭免許の更新が廃止されたの?
教員の質の向上や、教員の負担軽減を目的とした政策の一環として、更新制度が見直されたことが背景にあります。
Q5. すでに幼稚園教諭免許を失効していたらどうすればよいの?
幼稚園教諭免許が失効してしまった場合、再授与申請を行う必要があります。失効した免許状をそのまま放置しておくと、教員としての活動ができなくなってしまうため、早めの対応が求められます。再授与申請の手続きは以下のステップで進めることができます。
- 都道府県の教育委員会に連絡し、失効となった旧免許状を返納する
- 都道府県の教育委員会に再授与関連書類を提出する。その後、免許状の再授与申請を行う
- 再授与された免許状を受け取る
Q6. 幼稚園教諭の旧免許を所持している場合は特別な対応が必要?
幼稚園教諭の旧免許を所持している場合、特別な対応が必要かどうかは、その免許状の状態によって異なります。まず、旧免許状を持っている方は、2022年7月1日以降に有効期限が設定されていないため、基本的には更新手続きは不要です。
しかし、旧免許状を所持している方の中には、休眠状態にある方や、現職教員として働いている方もいるため、それぞれのケースに応じた対応が求められます。
まとめ
幼稚園教諭免許の更新制度が廃止されたことにより、教員免許の取り扱いに大きな変化がもたらされました。これまでの更新手続きが不要となり、教員としての活動がよりスムーズに行えるようになりました。
特に、2022年7月1日以降に有効な免許状を持つ方々にとっては、更新の心配がなくなり、安心して教育現場に専念できる環境が整いました。
また、旧免許状を持つ方々にとっても、休眠状態からの復帰が容易になり、教育現場への再参入が促進されることが期待されます。これにより、保育士が認定こども園で働く際のハードルも下がり、より多くの人材が幼児教育に携わることが可能になるでしょう。
今後、幼稚園教諭免許を取得する際には、更新制度の廃止を踏まえた新たなキャリアパスが広がることが予想されます。
教育現場での人手不足解消にも寄与するこの制度の変化は、幼児教育の質を向上させる一助となるでしょう。これからの幼稚園教諭の在り方について、引き続き注目していきたいところです。