就労要件関係なく利用できる保育制度「こども誰でも通園制度」が2026年度より開始

「働いていなくても保育園を利用できたら」と感じたことのある方もいるでしょう。子育て支援の一環として、就労要件を問わずに利用できる新たな保育制度が導入されます。

本記事では、2026年度から本格実施される「こども誰でも通園制度」について、制度の概要や従来の一時預かり事業との違い、各自治体におけるモデル事業の動向、利用にあたっての手続きまで詳しく解説します。

こども誰でも通園制度とは?2026年度から始まる新制度の基本

「こども誰でも通園制度」は、2026年度から全国で導入される新しい保育制度です。この制度の最大の特徴は、就労状況に関係なく、すべての子どもが保育園を利用できる点です。

これにより、働いていない保護者や、育児休暇中の親も安心して子どもを預けることができ、子育ての負担を軽減することが期待されています。

制度の目的と概要

「こども誰でも通園制度」は、2025年度に地域子ども・子育て事業として制度化し、2026年度から全国で導入される新しい保育制度です。この制度の主な目的は、就労状況にかかわらず、すべての子どもが保育園を利用できる環境を整えることです。

これにより、子育て中の保護者が仕事を持っていない場合でも、安心して子どもを預けることができるようになります。具体的に、対象となるのは0歳6ヶ月から3歳未満の未就園児です。

対象となる子どもと利用時間の上限

利用時間の上限は、月に10時間までと設定されています。この時間内であれば、保護者は自由に利用することができ、必要に応じて保育を受けることが可能です。

1時間あたりの料金は300円で、非課税世帯や生活保護世帯に対しては料金の減免措置も用意されています。このように、経済的な負担を軽減することで、より多くの家庭が制度を利用しやすくなることを目指しています。

この制度は、子どもたちが社会性を育む場としても重要であり、保育士による専門的な支援を受けながら、安心して集団生活を体験することができます。これにより、子どもたちの成長を促進し、保護者にとっても育児の負担を軽減することが期待されているのです。

これまでの「一時預かり事業」との違い

「こども誰でも通園制度」は、従来の「一時預かり事業」とは異なる新たな保育制度として位置づけられています。一時預かり事業との違いは以下のとおりです。一時預かりは、ご家庭の都合により、一時的にどうしても保育を受けられない場合を想定しています。

そのため、子どもの育ちを支援するという「こども誰でも通園制度」とは目的そのものが異なるというものです。簡単な覚え方としては、すべての自治体で0歳6ヶ月〜満3歳未満の未就園児が親の就労状況に関係なく、育ちの支援を月10時間まで受けられるものです。

 こども誰でも通園制度一時預かり
実施自治体すべての自治体が対象 (予定)1,269自治体
対象0歳6ヶ月〜満3歳未満の未就園児ご家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳幼児または幼児
目的子どもの育ちの支援保護者の急用への対処法やリフレッシュ
利用時間月に10時間までを上限に検討補助事業なので利用時間の定めはなく、市町村によって上限時間や日数は異なる

出典:こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会|こども家庭庁

こども誰でも通園制度のメリット【保護者・子ども・社会】

「こども誰でも通園制度」は、保護者や子ども、さらには社会全体に多くのメリットをもたらす新しい制度です。ここからは、保護者や子ども、社会と3つの軸におけるメリットを解説します。

保護者にとってのメリット

最も大きな利点は、就労状況にかかわらず保育サービスを利用できる点です。これにより、育児と仕事の両立が難しい家庭や、育児休暇中の保護者も安心して子どもを預けることができるようになります。

特に、育児に専念したいが経済的な理由で保育を利用できなかった家庭にとっては、大きな支援となるでしょう。また、月10時間までの利用が可能で、1時間あたりの料金も手頃に設定されています。(住民税非課税世帯や生活保護世帯などは減免制度あり。)

これにより、経済的な負担を軽減しつつ、子どもに質の高い保育を受けさせることができます。さらに、保育士が常駐することで、育児相談や子ども同士の交流の場も提供され、保護者にとっても心強いサポートとなります。

子どもにとってのメリット

「こども誰でも通園制度」は、子どもたちにとって多くのメリットをもたらします。まず、保育園に通うことで、社会性やコミュニケーション能力を育む機会が増える点が挙げられます。

集団生活を通じて、他の子どもたちとの関わりを持ち、遊びや学びを共有することで、自己表現や協調性を自然に身につけることができます。次に、専門的な保育士による支援が受けられることも大きな利点です。

保育士は子ども一人ひとりの成長や発達に応じた適切なサポートを提供し、個々のニーズに応じた教育や遊びを通じて、子どもたちの能力を引き出します。

特に、発達に特別な配慮が必要な子どもにとっては、専門的な支援が受けられる環境が整っていることが安心材料となります。

さらに、保育園での活動は、子どもたちの情緒的な安定にも寄与します。親から離れて過ごす時間を持つことで、子どもは自立心を育むことができ、さまざまな経験を通じて自信を持てるようになります。

これにより、将来的に学校生活や社会生活においても、柔軟に適応できる力を養うことが期待されます。

社会・事業者にとってのメリット

社会的な観点から見ると、この制度は子育て支援の充実を図ることで、少子化対策に寄与することが期待されています。子どもが安心して通園できる環境が整うことで、家庭の負担が軽減され、育児と仕事の両立がしやすくなります。

これにより、働く世代の定着や新たな人材の確保にもつながりやすいでしょう。また、事業者にとっても、保育サービスの提供が新たなビジネスチャンスを生むことが考えられます。

特に、地域密着型の小規模保育施設や民間の保育事業者は、制度を活用することで利用者を増やし、収益を上げる機会が増加します。さらに、保育士の雇用が促進されることで、地域経済の活性化にも寄与するでしょう。

こども誰でも通園制度のデメリットと今後の課題

「こども誰でも通園制度」は、就労要件を問わずに保育を受けられる新たな制度として期待されていますが、いくつかのデメリットや課題も存在します。ここからは、「保育現場の負担」や「安全確保」など、考えておくべきいくつかのデメリットや課題をお届けします。

保育現場の負担増・保育士不足の深刻化

「こども誰でも通園制度」の導入により、保育現場には新たな課題が浮上しています。特に、保育士の不足と現場の負担増加が深刻な問題として取り上げられています。

制度の目的は、より多くの子どもたちに保育の機会を提供することですが、その実現には十分な人員と資源が必要です。保育士不足は、すでに多くの地域で問題視されており、特に都市部では競争が激化しています。

新制度の導入により、保育施設への利用者が増加することが予想されるため、現場の保育士にかかる負担はさらに増すことが懸念されています。保育士一人当たりの子どもの数が増えることで、個別のケアや教育の質が低下する可能性も懸念されているのです。

また、保育の質を確保するためには、保育士の専門性や経験が重要です。しかし、保育士の待遇改善が進まない限り、優秀な人材を確保することは難しいでしょう。

これにより、保育現場の人手不足がさらに悪化し、結果として子どもたちへのサービスの質にも影響を及ぼすことが懸念されています。このような状況を踏まえ、制度の実施にあたっては、保育士の確保や育成、労働環境の改善が急務となります。

保育現場の負担を軽減し、質の高い保育を提供するためには、国や自治体、そして社会全体での取り組みが求められています。

安全確保と保育の質の問題

「こども誰でも通園制度」の導入に伴い、保育現場では安全確保と保育の質を維持することが重要な課題となります。

特に、就労要件を問わずに多様な家庭の子どもたちが利用できるようになることで、保育施設にはさまざまな背景を持つ子どもたちが集まることが予想されます。このような状況下で、保育士は一人ひとりのニーズに応じた適切な支援を行う必要があります。

安全確保の観点からは、施設内での事故やトラブルを未然に防ぐための体制が求められます。特に、子どもたちが自由に遊ぶ環境を提供しつつも、危険を回避するためのルールや体制を整えることが不可欠です。

また、保育士の人数や経験も重要な要素であり、十分な人員配置がなされているかどうかが、保育の質に直結します。次に、保育の質を確保するためには、保育士の専門性やスキルの向上が必要です。

新制度の導入により、保育士は多様な子どもたちに対応するための研修や教育を受けることが求められるでしょう。これにより、保育士が子どもたちの発達段階や個々の特性を理解し、適切な支援を行うことが可能になります。

都市部と地方での実施格差

「こども誰でも通園制度」は、全国的に導入されることが期待されていますが、都市部と地方ではその実施状況に大きな格差が生じる可能性があります。

都市部では、保育施設の数が多く、利用者のニーズに応じた柔軟な対応が可能ですが、地方では施設数が限られているため、利用できる選択肢が少なくなることが懸念されています。

特に、地方では人口減少や少子化が進んでいるため、保育士の確保が難しく、質の高い保育を提供するための人材も不足しています。このような状況では、制度の導入が進んでも、実際に利用できる環境が整わない可能性があります。

また、都市部に比べて地方の保育施設は、利用者数が少ないため、経済的な運営が厳しく、持続可能な運営が難しいという課題も。このため、制度の実施にあたっては、地域ごとの特性を考慮した柔軟な対応が必要です。

今後、全国的に均等なサービス提供が実現されるためには、地方自治体の支援や、地域資源を活用した取り組みが重要となるでしょう。

利用料金と補助金について

ここからは「こども誰でも通園制度」における、利用料金と補助金の有無について整理していきたいと思います。

利用料金の目安

「こども誰でも通園制度」の利用料金は、基本的に1時間あたり300円となっています。ただし、地域や施設によっては変動する可能性があるため、詳細は自治体や施設に確認をしてみてください。

この料金は、月10時間までの利用が可能で、非課税世帯や生活保護世帯に対しては特別な料金設定が用意されています。具体的には、基本的に非課税世帯の場合は1時間あたり60円、生活保護世帯では無料で利用できるため、経済的な負担を軽減することが可能です。

利用料金のモデルケース(仮)

「こども誰でも通園制度」の利用料金は、1時間あたりの料金が300円とされており、非課税世帯や生活保護世帯に対しては料金の減免措置が設けられています。この制度を利用する際の月額料金をシミュレーションしてみましょう。

例えば、月に10時間の利用を想定した場合、通常の世帯では300円×10時間で、月額3,000円となります。一方、非課税世帯の場合は、1時間あたり60円の料金が適用されるため、月額は600円となります。

また、生活保護世帯では、利用料金が無料となるため、経済的な負担は一切ありません。このように、利用料金は世帯の状況に応じて大きく異なるため、保護者にとっては非常に助かる制度と言えるでしょう。

さらに、利用時間の上限は月10時間ですが、時間単位で必要な時間だけを選んで利用できる柔軟性も魅力の一つです。これにより、保護者は自分のライフスタイルに合わせた保育サービスを受けることが可能になります。

事業者向けの補助金

「こども誰でも通園制度」の導入に伴い、保育事業者に対する補助金制度も整備される予定です。この補助金は、保育施設が新たに制度に参加する際の経済的負担を軽減し、質の高い保育サービスを提供するための支援を目的としています。

具体的には、2024年度については先行的な試行事業において、子ども1人につき1時間あたり850円、国が4分の3、自治体が4分の1を負担しました。子どもを預かった実績に応じて、補助金が支給される内容となります。

ただし、この補助金支給額には自治体によって賛否が分かれており、国の補助金や保護者の利用料金よりも、設備投資や人件費の負担が大きく、トータルで見れば赤字である場合も見受けられます。

このような自治体からの声を受けて、国も2025年度より補助金の支給額を増額させていますが、そもそもこの制度を導入するための人員確保すら難しい事業者が特に地方では多いため、まだまだ課題が残りそうです。

制度を安定的かつ健全に導入するためには、専門人材や設備を供給するための仕組みそのものが充実しなければ、本当の意味で価値ある制度とは程遠くなってしまいます。

参考:子どもを虐待から守る会・まつもと

【エリア別】こども誰でも通園制度のモデル事業実施状況

2026年度から本格実施される「こども誰でも通園制度」ですが、各自治体ではすでにモデル事業が進められています。

これにより、地域ごとの取り組みや実施状況が明らかになり、保護者や子どもたちにとっての利便性が向上しています。以下では、いくつかの自治体の具体的な取り組みを紹介します。

神戸市の取り組み

神戸市では、2024年度から「こども誰でも通園制度」のモデル事業を実施しています。この制度は、0歳6ヶ月から2歳(3歳未満)の未就園児を対象にしており、月10時間までの利用が可能です。

利用料金は1時間300円と設定されており、保護者にとっても負担が少ない形となっています。この制度の特徴として、保育士が常駐していることが挙げられます。保育士は育児相談を行い、子どもたちに集団生活の機会を提供する役割を果たしているのです。

申し込みは、神戸市のオンライン申請システム「e-KOBE」を通じて行われます。このオンライン申請の導入により、手続きが簡素化され、保護者にとって利用しやすい環境が整っています。神戸市は、全国で先陣を切ってこのモデル事業を導入しているのが特徴です。

モデル事業の導入施設数は21施設ですが、2025年7月1日以降は、この21施設に加えて新たに14施設が加わることが決定し、合計すると35施設で事業を展開することになります。

また展開する事業所も、保育園・幼保連携型認定こども園・幼稚園型認定こども園・幼稚園・小規模保育事業所など、豊富なのが特徴です。

出典:こども誰でも通園制度の利用者を募集します!|こどもっとKOBE
出典:令和7年度「神戸市こども誰でも通園制度」実施施設の拡充|神戸市

大阪市の取り組み

大阪市では、2025年4月1日から「こども誰でも通園制度」を実施しています。民間と公立の保育施設で提供され、2025年7月には実施施設を16ヶ所まで拡充する予定です。これにより、より多くの家庭が利用できる環境が整えられます。

また、大阪市のホームページでは、区ごとに実施施設の情報を適宜公開しており、利用を検討する方にとっても情報を確認しやすいのが特徴です。民間と公立施設を横断して積極的に導入しているのが大阪市です。

出典:令和7年度 大阪市こども誰でも通園制度について|大阪市

姫路市の取り組み

姫路市では、2024年度および2025年度に「こども誰でも通園制度」のモデル事業を実施しています。この制度の対象は、姫路市在住の0歳6ヶ月から3歳未満の未就園児で、利用時間は月10時間以内、料金は1時間300円となっています。

姫路市では保育士による専門的な支援が必要な子どもについては、保育課に相談することができるため、個別のニーズに応じたサポートが可能です。

申込方法はオンラインで行うことができ、必要に応じて抽選が行われるため、手続きがスムーズに進行することが見込まれます。

なお、姫路市は、保護者への配慮を重視し、丁寧な説明を行うためのPDF資料を作成しており、利用者が制度を理解しやすいよう努めています。このような取り組みは、保護者にとっても安心して利用できる環境なのではないでしょうか。

第2期にあたる2025年9月〜11月において実施している施設数は、合計10施設です。それぞれ、「こども誰でも通園制度」に通うお子様だけの専用室を設けていたり、在園児と一緒に保育を行う「在園児合同室」を設けていたり、施設によって特色が異なります。

出典:令和7年度姫路市こども誰でも通園制度モデル事業|姫路市役所こども支援課 すこやか子育てセンター
出典:令和7年度姫路市こども誰でも通園制度モデル事業のご案内|姫路市

京都市の取り組み

京都市では、2024年7月1日より「こども誰でも通園制度」のモデル事業を実施しています。対象年齢や利用料金についてはその他の地域と基本的に同様です。京都市において特に注目すべき点は、地域ごとにバランスよく保育施設が配置されていることです。

2025年7月1日時点での資料を確認すると、京都市内においてモデル事業の実施施設が85件も登録されています。また登録施設数の多さだけでなく、「在園児合同」や「専用室」、「余裕活用型」など、施設によって受け入れ体制を柔軟に整備しています。

余裕活用型とは、保育施設の定員が空いた段階の範囲内でお子様を受け入れる体制のことです。さらに京都府では、こども誰でも通園制度の導入に伴い、保育所などに「親」も一緒に通園できる「親子誰でも通園モデル事業」を全国初で導入したことでも知られています。

この制度では、在宅育児中に親を受け入れ、乳幼児との関わり方を学ぶ機会を提供したり、同じ境遇の親同士とのつながりを支援したりなど、「親育ち」をサポートするのが目的です。

すでに実施期間は終了していますが、全国に先駆け先進的な取り組みを導入しています。京都市は人口比率で見ても群を抜いて、「こども誰でも通園制度」の実施施設が多く非常に力を入れていることが理解できます。

出典:令和7年度 こども誰でも通園制度(乳児等通園支援事業)について|京都市情報館
出典:令和7年度 こども誰でも通園実施施設一覧(令和7年7月1日時点)|京都市
出典:親子誰でも通園モデル事業|京都府

東大阪市の取り組み

東大阪市では、2025年5月から「こども誰でも通園制度」をスタートしています。基本的な利用条件についてはその他の地域と特別変わりはありません。制度を利用するためには、市の電子申請を通じて利用認定申請を行う必要があります。

特に注目すべき点は、利用には「認定申請」と「面談」が必須であることです。この面談では、お子様のアレルギーの有無、発育状況、健康状態、在宅での様子などがヒアリングされます。

なお利用料金ですが、実施施設によって1時間あたりの料金が異なるため確認が必要です。おおむね、1時間あたり300・400円ですが、施設によっては満3歳以上に関して1時間700円の料金が必要なケースもあります。

モデル事業の導入施設は、2025年8月時点 において12箇所となります。地域に密着した施設も多く、ゆったりとお子様を預けられるのが特徴です。

さいたま市の取り組み

さいたま市では、第1期となる「こども誰でも通園制度」の試験的事業が、2024年6月から2025年3月までの間、実施されました。

市内在住の0歳6ヶ月から3歳未満の未就園児を対象としていること、月10時間以内の利用であること、1時間あたり300円の料金が設定されていることなどは、その他のエリアと同様です。

利用にあたっては、実施施設の空き状況を確認のうえ、希望施設に直接申し込む形式。その後、施設により原則1時間程度の事前面談と体験利用をし利用登録を行います。利用登録が完了した段階で、各施設に利用予約ができるようになります。

実施施設も拡充されており、2025年8月時点では26箇所で対応中です。また、余裕活用型の施設もあり、保育園等の定員枠に余裕ができ次第、利用できます。

なお、受け入れ可能と記載されていても、園の事情によっては受け入れが難しいこともあるため、詳細は施設に確認してみてください。

出典:(令和6年5月27日発表)「こども誰でも通園制度」試行的事業が始まります|さいたま市
出典:保育所等におけるこども誰でも通園制度(乳児等通園支援事業)について|さいたま市

利用するための手続きと流れ

「こども誰でも通園制度」を利用するためには、いくつかの手続きが必要です。以下にその流れを詳しく説明します。

1. 自治体への情報確認・問い合わせ

「こども誰でも通園制度」を利用するための第一歩は、各自治体への情報確認と問い合わせです。制度の詳細や利用条件、申込方法については、自治体ごとに異なる場合がありますので、まずはお住まいの地域の公式ホームページを確認しましょう。

多くの自治体では、制度に関する専用のページが設けられており、必要な情報がまとめられています。また、ホームページだけでなく、電話や窓口での問い合わせもできます。

特に、制度に関する疑問や不明点がある場合は、直接担当者に話を聞くことで、より具体的なアドバイスを受けることができます。この段階でしっかりと情報を収集することで、後の手続きがスムーズに進むだけでなく、制度を最大限に活用するための準備が整います。

2. 利用登録・申し込み

次に、利用登録の手続きに進みます。多くの自治体では、オンラインでの申し込みが可能ですが、対面での申し込みを希望する場合は、指定された窓口に訪れる必要があります。申し込みの際には、必要な書類や情報を準備しておくことが求められます。

申し込みが完了したら、自治体によって認定審査が開かれます。利用が認定されると、「こども誰でも通園制度総合支援システム」のIDが発行されて、お子様の情報が登録される流れです。

3. 施設との面談・説明会

利用登録まで完了すると、希望する施設との面談予約を行います。面談予約が確定すれば、利用者にお知らせの通知が届きますので、それをもって面談日が確定します。「こども誰でも通園制度」を利用するためには、施設との面談や説明会が重要なステップとなります。

このプロセスは、保護者が利用を希望する保育施設と直接コミュニケーションを取る機会であり、制度の詳細や利用条件についての理解を深めるために欠かせません。

面談では、保護者が子どもの育児に関する状況やニーズを伝えることができ、施設側もそれに応じた支援を提案することが可能です。また、保育士からは、施設の方針や日常の保育内容、利用時の注意点などについて詳しい説明が行われます。

このような双方向のコミュニケーションを通じて、保護者は安心して子どもを預けることができる環境を整えることができます。

4. 利用開始

各施設によって決まった利用日に登園します。利用開始の方法については、施設によって異なる場合もあるため、詳細は各自治体や施設に確認が必要です。

こども誰でも通園制度に関するQ&A

「こども誰でも通園制度」に関する疑問や不安を解消するために、よくある質問をまとめました。これから制度を利用しようと考えている方は参考にしてみてください。

Q1. 申し込みはいつからできますか?

申し込みの開始時期は各自治体によって異なりますが、一般的には2026年度の制度開始に向けて、2025年度の早い段階から準備が進められています。具体的な日程については、各自治体の公式ホームページや広報を通じて確認することが重要です。

Q2. 働いていなくても本当に利用できますか?

はい、「こども誰でも通園制度」は就労要件を問わず、すべての子ども(原則として0歳6ヶ月〜満3歳未満の未就園児)が利用できる制度です。働いていない保護者でも、子どもを保育園に通わせることができるため、子育ての負担を軽減することが期待されています。

Q3. 複数の施設を同時に利用できますか?

基本的には、同時に複数の施設を利用することは可能ですが、各施設の利用条件や定員により制限がある場合があります。具体的な利用方法については、各施設に直接問い合わせることをおすすめします。

Q4. 給食やおやつは提供されますか?

給食やおやつの提供については、各施設によって異なります。多くの保育施設では、栄養バランスを考えた給食やおやつが提供されることが一般的ですが、詳細は利用する施設に確認する必要があります。

また、給食・おやつに関しては別途料金がかかるケースがほとんどです。

Q5. 障害のある子や医療的ケアが必要な子も利用できますか?

「こども誰でも通園制度」は、障害のある子どもや医療的ケアが必要な子どもも対象としています。ただし、特別な支援が必要な場合は、事前に施設と相談し、適切な支援体制が整っているか確認することが重要です。

まとめ

2026年度から導入される「こども誰でも通園制度」は、就労要件を問わずに保育園を利用できる新たな制度として、多くの家庭にとって大きな支援となることが期待されています。

この制度により、働いていない保護者でも安心して子どもを預けることができ、育児と仕事の両立がしやすくなるでしょう。また、子どもたちにとっても、社会性を育む貴重な機会が増えることが見込まれます。

一方で、制度の導入に伴う保育現場の負担増や保育士不足といった課題も存在します。これらの問題に対処しながら、制度が円滑に運営されることが重要です。各自治体の取り組みやモデル事業の実施状況を注視し、地域ごとの特性に応じた柔軟な対応が求められます。

また、制度の詳細や利用方法については、各自治体の情報を確認し、適切な手続きを行いましょう。 今後、こども誰でも通園制度がどのように発展し、保護者や子ども、社会全体にどのような影響を与えるのか、引き続き注目していきたいと思います。

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