未来を見つめた幼児の言語教育について【第6回】WithBook English online を活用した「毎日えいご」と探究活動について

保育・療育・教育事業を展開する株式会社アイ・エス・シーが、「保育事業者」と「自己探究プログラムの開発事業者」双方の視点から、「ことば」や「その子らしさを育くむコミュニケーション」に関わるお役立ち情報を提供しています。

乳児の探究活動へのアプローチ

「皆さんの園では、乳児に対する探究活動をどのように進めていますか?」このような質問をすると、「言語を使っての『問いを立てる』といった活動が成立しづらい0-2歳の子どもたちと、どのように探究活動をしていけばよいのだろう?」といった戸惑いの声をよく耳にします。

たしかに、幼児で行っている活動の流れをそのまま取り入れようとすると、ほぼ保育者が実施するような活動になってしまい、子ども主体とは言えなくなってしまうことでしょう。でも難しく考えることはありません。皆さんの日々の保育活動の中に、すでにたくさんの探究活動の芽が顔を出しているのです。ここからは、乳児期(0〜2歳)における探究活動の具体例と保育者の関わり方について、具体例とともに見ていきましょう。

(1)保育者が関わる際に大切にしたい視点

乳児期の子どもたちは、まだ言葉は限られていますが、身体全体を使って世界と関わろうとします。表現は「発信」というより「発見」に近く、「気づき」や「発見を感じること」ことが、豊かな探究の種になります。その時、保育者が大切にしたいのは、「教える」ことよりも、「ともに気づき、ともに味わう」姿勢であり、「子どもたちが何を発見したか」という視点です。

1. 子どもを“探究者”として見てみる
乳児は小さな探検家です。水をこぼす、繰り返し落とす、じっと見つめる…こうした行為は、自ら問いを立て、確かめる“探究活動”そのものです。 保育者は、「なぜその動きを繰り返しているのだろう?」と考え、声をかけてみましょう。

2. 「結果」より「過程」に光を当てる
上手に描けた・できたこと以上に、“どんなふうにそこに至ったか”を大切にする視点が大切です。偶然できた混色や、戸惑いながらも工夫した仕草には、豊かな学びが詰まっています。

3. 応答的な関わりで“ことば以前”の対話を育てる
乳児の表現は、身ぶり・視線・声のトーンといった非言語が中心です。保育者が「○○したかったのかな」「そうだったのね」と気持ちを代弁したり、鏡のように返す応答が、表現の土台となります。

4. 子どもを「型にはめない」関わり方を心がける
乳児の表現に“正解”はありません。想像外の反応や発見に出会ったときは、「そうか!〇〇ちゃんは、そんな風に考えたんだね!」といった肯定と驚きの姿勢で受けとめることが、子どもの主体性を伸ばします。
乳児の探究活動は、日常のなかにある小さな「問い」や「驚き」を丁寧にすくい上げることから始まります。「保育者自身が一緒に楽しむこと」、「目の前で起きていることを言葉にして伝えること」がとても大切になります。そして、このやりとりこそ、れっきとした探究活動なのです。

(2)具体的な活動~「表現」をテーマにした探究活動について~

乳児の探究活動は、「これ、なんだろう?」「やってみたい!」という内なる衝動から始まります。そしてその表現は、誰かに受けとめられることで、“伝わった”という喜びに変わります。

では、乳児期(0〜2歳)における「表現」の探究活動について具体例と保育者の関わり方を紹介します。

「WithBook English online」(ウィズブック イングリッシュ オンライン)を活用した 「表現」探究プログラムの例:

(3)保護者との「共に見る」関係づくり

乳幼児の探究活動は、園での活動で完結するものではありません。むしろ、日常にこそ“探究の芽”はたくさん隠れていて、その芽がしっかり根を張るには、園と家庭のつながりが欠かせません。
その時に役立つのが、「実施内容の記録や使ったもの、エピソード」です。保育者が、保護者と子どもたちの家庭での関わりをサポートすることは、園と家庭が一緒に子どもの“探究の芽”を育てる関係を築くことに繋がります。

●情報提供の一例

写真やコメントつきの記録共有

「今日○○ちゃんは、英語レッスンの時間で知った「どうぞ(For You)」のやり取りをとても気に入り、おままごとの時間でも何度も両手を添えて伝えてくれました」など、活動の背景や子どもの反応を伝えることが、家庭での会話を広げるヒントになります。

小さな提案の添え書き

たとえば「この歌のダンスが好きみたいです。ご家庭でも一緒に踊ってみてはいがでしょう」といった気軽な提案を添えると、家庭でも探究が自然につながります。

(「WithBook English online」(ウィズブック イングリッシュ オンライン)での保護者向け共有例)

保護者にとっては、それが「うちの子が園でどんなふうに感じ、動いたのか」を知るきっかけとなり、子どもの内面世界に触れる貴重な時間になります。

 “つながる”ことで、安心と自信を育てる

子どもにとって、保育園と家庭がつながっていると感じられることは、自分の存在がどこでも認められているという “自己肯定感”の土台 になります。「この絵、ママに見せるんだ」と嬉しそうに話す子どもの声は、「伝えたい気持ち」そのもの。保育園と家庭とで連携しながら、子どもの育ちを応援していきたいものです。

まとめ

日常のなかの小さな表情・動きを、保育士のまなざしで“愛でる” 乳児の探究活動は、テーマを定め、結果が出るといった分かりやすいものではありません。ですが、子どもが「自分で考えて動いた」「気持ちを込めた」瞬間を見逃さずに受けとめ、共感し、言葉をかけ、探究心の芽を育むこと。それは、保育士だからこそできることではないでしょうか?ぜひ、小さなことから始めてみませんか?

保育を知る私たちが開発した
「感じる・考える・表現する力」を育むオンライン・英語探究プログラム

「WithBook English online」(ウィズブック イングリッシュ オンライン)では、本日お伝えした、「乳児向け」表現の探究活動をサポートしています。

【小規模保育園でのレッスンの様子】

※「WithBook English online」は、とうきょうすくわくプログラム推進補助事業の要件を満たしています。

プロフィール:㈱アイ・エス・シー まなび事業部

「らしさとらしさ、あふれる社会へ」をビジョンに掲げ、保育・療育・教育事業を展開する㈱アイ・エス・シー。ママ社員で構成する「まなび事業部」で「自己探究」を軸に開発したオンライン英語「WithBook English online」は、園での外国人講師とのインタラクティブな英語あそびを通じて、”ことば ”がもつイメージ・意味を深めるプロセスを楽しみ、英語が好きになることで自然と英語で表現できることを目指しています。

▷WithBook English online  https://withbook-english.com/

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