
毎月のお便り、何を書けばいいか悩んでいませんか?「行事や季節の話題はたくさんあるのに、いざパソコンに向かうと手が止まってしまう…」そんな経験、先生方なら一度はあるのではないでしょうか。
お便りは、保護者に子どもたちの姿を届ける大切なツールです。季節の挨拶や行事の報告、日常のちょっとしたひとコマを綴るだけで、園と家庭の距離はぐっと縮まります。
さらに、ICTシステムを活用すれば、写真やイラストを交えた伝わるお便りを、もっと効率よく届けることもできます。
本記事では、保育現場のリアルな悩みに寄り添いながら、書き出しのポイントやコツ、月別の文例、そしてICT活用の最新事例までをまとめました。
目次
保育園のお便りの役割

保護者との連携や信頼関係を築くうえで、保育園のお便りは欠かせないツールです。日々の保育の様子や行事の報告、連絡事項を文字で伝えることで、保護者は園での子どもの姿を具体的にイメージできます。
子どもの成長や小さな変化を共有することは、保護者に安心感や喜びを届ける大きな役割を持ちます。共働き家庭が増え、登降園時に保育士とゆっくり話す時間がとれないことも少なくありません。
お便りを通じたコミュニケーションはますます重要になっています。文章に先生の想いや子どもへの愛情が込められていれば、保護者との距離をぐっと縮めるきっかけになるはずです。
保育園のお便りの書き方のコツ

お便りを書こうとパソコンに向かっても、なかなか筆が進まない。そんな経験がある先生も多いのではないでしょうか。限られた時間のなかで、子どもたちの姿を正確に、かつ保護者の心に届くように表現するのは簡単ではありません。
ここでは、お便り作成の負担を軽くし、より伝わる内容にするための具体的なコツを6つご紹介します。
メモ帳を常に携帯し子どもたちの様子を記しておく
お便りに書くネタやアイデアは、日常のなかにたくさんあります。時間が経つと細かなニュアンスや子どもの言葉づかいを忘れてしまうことも多いため、ポケットに入るメモ帳を常備しておくと便利です。
「転んでも泣かなかったAくん」「砂場でケーキ屋さんごっこに夢中のBちゃん」など、その場で一言だけ残しておくだけで、あとから文章に肉付けしやすくなります。ライブ感のある描写は、保護者にとって安心や共感を呼びやすいものです。
写真を活用する
どんなに丁寧に言葉を選んでも、子どもの一瞬の表情や全体の雰囲気は文章だけでは伝わりきらないことがあります。そんなときに役立つのが写真です。
野菜の収穫体験で泥だらけになりながら笑う姿、絵の具を全身に浴びて描いた作品の前で得意げに立つ姿。写真があるだけで読み手の想像力はぐっと広がります。
ICTシステムを使って写真つきのお便りを配信できる園も増えており、保護者の満足度向上にもつながっています。
行事ごとの文章はある程度フォーマット化しておく
運動会や生活発表会、誕生会、避難訓練など、保育園の年間行事には毎年繰り返されるものが多くあります。あらかじめ定型の文章フォーマットを用意しておけば、毎回ゼロから考える必要がなく効率的です。
「保護者の皆さまのご協力のおかげで、無事に運動会を開催することができました」といった定番の文をベースにし、その年ならではの出来事や子どもたちの成長を少し加えるだけで、オリジナリティも出せます。
月ごとの書き出しは挨拶文を決めておく
お便りの書き出しは全体の印象を左右する大事な要素です。毎回悩んで時間を取られる部分でもあるため、季節や月に合わせた挨拶文をいくつかストックしておくと便利です。
4月なら「新しい環境に少しずつ慣れてきた子どもたちの表情にも、安心感が見えるようになってきました」といったように、季節感と子どもの様子を組み合わせると読みやすくなります。
年間12ヶ月分の挨拶テンプレートを準備しておけば、作業時間を短縮でき、表現にも余裕が生まれます。
文章は6W2Hを意識する
お便りをわかりやすくするには、「誰が(Who)」「誰に(Whom)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」「どのくらいの時間や費用で(How much)」といった要素を意識的に盛り込むことが大切です。
さらに、活動の成果や子どもたちの変化などを補足できると、より具体的で読み手に伝わるお便りになります。
遠足の報告なら「5月◯日(木)に、ひよこ組の子どもたちが近くの公園まで徒歩で行き、約2時間、虫探しやお弁当を楽しみました」と書くと、情報がコンパクトにまとまり具体的に伝わります。読み手に安心感を与える効果もあります。
季節のイラストも活用して可愛らしく彩る
文章だけでは少し味気なくなりがちなお便りも、イラストを添えるだけで温かみが増します。四季の変化が豊かな日本では、行事や自然にちなんだイラストを取り入れると子どもたちの世界観とも重なりやすくなります。
3月はおひなさま、6月はあじさいやカエル、10月はハロウィンのかぼちゃ、12月は雪だるまやクリスマスツリー。イラストが苦手でも無料素材やテンプレートを使えば十分です。絵を見るだけでほっとする。そんな心づかいが伝わるお便りづくりを意識してみましょう。
【月別】保育園のお便り文例!書き出しも要チェック

毎月のお便りは、保護者にとって子どもたちの日常や成長を知る大切な情報源です。季節感のある挨拶や、行事・保育内容の見通しを自然に伝える場にもなります。ここでは、月ごとに使える挨拶文と内容構成の文例をご紹介します。
文量は自由に調整できます。園のスタイルやクラスの様子、子どもたちの個性に合わせて具体的なエピソードや表現を加えてアレンジしてみてください。
【1月】保育園のお便り文例
あけましておめでとうございます。新しい年を迎え、子どもたちは元気いっぱいに登園してきてくれました。久しぶりに会うお友だちや先生との再会に、照れながらもすぐに笑顔が広がり、園内はすぐにいつものにぎやかさに戻りました。
寒さが厳しい季節ですが、戸外遊びでは霜柱を踏んでみたり、冷たい風に触れて季節の変化を五感で感じたりと、冬ならではの体験を楽しんでいます。今月は、お正月遊びや冬ならではの制作活動を通じて、伝統文化に親しむ機会も大切にしています。
今年も一人ひとりの成長を丁寧に見守りながら、保護者の皆さまと連携し、安心して通える園づくりを進めてまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
【2月】保育園のお便り文例
暦のうえでは春を迎えましたが、まだまだ寒さの厳しい日が続いています。子どもたちは鼻を赤くしながらも、外に出て元気に体を動かす姿が見られ、たくましさを感じます。
2月は節分やバレンタインなど、子どもたちの興味を引く行事がたくさんあります。節分では鬼のお面をつくったり、豆まきごっこを通じて「悪いものを追い出す」という意味を知ったりと、楽しく季節の伝統行事に触れることができました。
インフルエンザや風邪が流行しやすい時期でもありますので、引き続き手洗い・うがいの習慣づけや、室内の換気・加湿に気を配ってまいります。ご家庭でも体調管理へのご協力をお願いいたします。
【3月】保育園のお便り文例
少しずつ春の気配が感じられるようになりました。園庭にも新芽が顔を出し、子どもたちは小さな自然の変化に目を輝かせています。日差しが暖かくなるにつれて、活動の幅も広がり、外遊びを存分に楽しんでいます。
3月は卒園や進級を控え、子どもたちの成長を実感する場面が多くなる季節です。自分で身支度を整える姿や、年下の子どもに優しく声をかける様子に、日々の積み重ねの大切さを感じています。
お別れや新しい一歩への期待が入り混じる時期ですが、今月も一日一日を大切に過ごしながら、子どもたちとたくさんの思い出をつくっていきたいと思います。年度末のご多忙な時期ではありますが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
【4月】保育園のお便り文例
ご入園・ご進級おめでとうございます。新しい環境のなかで、緊張と期待が入り混じった表情を浮かべながらも、少しずつ園生活に慣れてきている子どもたちの様子が見られます。
4月は「はじめて」がたくさんの月。新しいお部屋、先生、お友だちとの関わりを通じて、毎日が新鮮な体験の連続です。不安や戸惑いがあるなかでも、小さな成功体験を積み重ねながら、徐々に安心できる場になっていけるよう、丁寧に関わってまいります。
保護者の皆さまにとっても、行き帰りのリズムや持ち物の準備など、新たな生活リズムに慣れるまでは大変かと思います。ご不安なことがあればいつでもご相談ください。一緒に歩んでいける1年にしていきましょう。
【5月】保育園のお便り文例
新緑がまぶしく、さわやかな風が心地よい季節になりました。入園・進級から1ヶ月が経ち、子どもたちは新しい環境にもすっかり慣れてきた様子です。朝の支度もスムーズになり、お友だちとのやり取りも自然と増えてきました。
5月はこどもの日や遠足など、子どもたちのわくわくが膨らむ行事が続きます。こいのぼり制作では、色とりどりの模様を工夫して描いたり、自分の名前入りの作品に誇らしげな表情を見せたりと、個性がきらりと光っていました。
気温がぐっと上がる日もあるため、こまめな水分補給や衣服の調整を意識しながら、快適に過ごせるよう配慮しています。引き続き、ご家庭との連携を大切にしながら、一人ひとりの成長を丁寧に見守ってまいります。
【6月】保育園のお便り文例
梅雨入りを迎え、しとしとと降る雨の音に季節の移ろいを感じる時期になりました。戸外で遊べない日も多くなりますが、子どもたちは室内での遊びや制作活動にじっくり取り組み、想像力を広げながら日々を楽しんでいます。
6月は歯と口の健康週間や時の記念日などもあり、生活習慣を見直す良い機会でもあります。園では「正しい歯の磨き方」や「時計の役割」などをテーマにした保育を行い、日々の生活に興味を持てるよう工夫しています。
また、湿度が高くなる季節のため、カビや食中毒対策、汗による肌トラブルの予防にも配慮しながら、清潔で快適な環境づくりを進めています。ご家庭でも衣服や体調管理へのご協力をお願いいたします。
【7月】保育園のお便り文例
セミの声がにぎやかに響き、夏の訪れを感じる季節になりました。蒸し暑い日が続くなかでも、子どもたちは汗をかきながら元気に遊び、水分補給や休息を上手に取り入れながら、夏ならではの活動を楽しんでいます。
7月は七夕や水遊びなど、子どもたちが心待ちにしているイベントが盛りだくさんです。笹飾りには、「プリンセスになりたい」「消防車に乗りたい」など、子どもたちの夢や願いがたくさん詰まっており、一つひとつに個性が感じられました。
水遊びでは、水鉄砲やバケツ遊び、シャボン玉などを通して、五感をフルに使って季節を感じています。気温が高くなる時期なので、熱中症対策として室温管理やこまめな水分補給を徹底しています。
着替えやタオルのご用意など、保護者の皆さまのご協力にも感謝申し上げます。
【8月】保育園のお便り文例
夏の太陽がまぶしく照りつけるなか、子どもたちは汗をかきながらも、毎日生き生きと過ごしています。プール遊びや氷あそび、色水あそびなど、水に触れる活動を通して、暑い夏を快適に楽しむ工夫をしています。
園では「夏ならでは」の体験を大切にし、スイカ割りや夏祭りごっこなどを取り入れています。子どもたちは浴衣やはっぴに身を包み、お店屋さんごっこや盆踊りを楽しみながら、季節の行事に親しんでいます。こうした経験は、思い出として子どもたちの心に長く残っていくはずです。
また、暑さによる体調変化が出やすい時期でもありますので、日々の健康観察を徹底しながら、無理のない活動を心がけています。ご家庭でも睡眠・食事などの生活リズムを整えていただけると安心です。
【9月】保育園のお便り文例
朝夕に秋の気配が感じられるようになり、虫の声や涼しい風に季節の移り変わりを実感する日々です。園庭ではどんぐりや落ち葉を拾う姿も見られ、子どもたちは自然からの贈り物に心を躍らせています。
9月は敬老の日やお月見といった行事を通じて、家族や日本の文化に親しむ機会が増えてきます。たとえば、手づくりのハガキや折り紙のプレゼントをつくり、大好きなおじいちゃん・おばあちゃんに感謝の気持ちを伝える練習をしました。
お月見では、白玉団子づくりを通して、行事の意味や季節の食文化にも触れました。気温差が大きくなるこの時期は、体調を崩しやすいため、引き続き健康管理に留意しながら、穏やかな毎日を大切に過ごしていきたいと思います。
【10月】保育園のお便り文例
金木犀の香りが園庭にただよい、心地よい秋風のなかでのびのびと遊ぶ子どもたちの姿が見られるようになりました。運動の秋、芸術の秋、食欲の秋といわれるこの季節は、子どもたちの好奇心をくすぐる活動にぴったりの時期です。
今月は運動会の練習が本格化し、クラスごとにリレーやダンス、玉入れなどを楽しみながら練習しています。「昨日より上手にできた!」「次は勝ちたい!」という気持ちが育ち、仲間と力を合わせることの大切さも感じているようです。
また、ハロウィン行事では仮装をしたり、「トリック・オア・トリート」と元気に挨拶したりと、海外文化にも楽しく触れました。引き続き、心も体も大きく成長できるさまざまな活動を工夫してまいります。
【11月】保育園のお便り文例
秋も深まり、落ち葉がカラフルなじゅうたんのように園庭を彩っています。季節の移り変わりを肌で感じながら、子どもたちは落ち葉拾いや虫探しに夢中です。肌寒くなってきましたが、外遊びを通して体をしっかり動かし、寒さに負けない体づくりを進めています。
11月は勤労感謝の日をきっかけに、「働くってなに?」をテーマにした保育を取り入れています。郵便屋さんや消防士さんなど、身近な職業に触れ、感謝の気持ちを持つことを学ぶ時間も設けました。
また、手づくりの感謝カードをつくり、園内の職員にも届けるなど、思いやりの心を育てています。朝夕の冷え込みが増すため、衣服の調整や体調管理にも十分配慮し、冬への準備を進めていきたいと思います。
【12月】保育園のお便り文例
今年も残りわずかとなりました。寒さが本格的になるなかでも、子どもたちは元気に過ごしており、クリスマス制作や発表会の練習に一生懸命取り組んでいます。園内にもツリーやリースが飾られ、すっかり年末ムードです。
12月は、1年のしめくくりとして子どもたちの成長を改めて感じる時期でもあります。発表会では、緊張しながらも舞台に立ち、堂々と演じたり歌ったりする姿に感動する場面がたくさんありました。
準備や練習を通じて、協調性や責任感といった力も自然と育っていることを実感します。
年末年始に向けて、ご家庭でもお忙しくなることと思います。どうぞ体調に気をつけて、楽しい年越しをお迎えください。本年もたくさんのご理解とご協力をありがとうございました。
【事例】ICTシステム「ウェルキッズ」でお便り作成もスムーズに
忙しい保育現場では、日々の記録やお便り作成に多くの時間が割かれ、先生方の負担になることもあります。
解消の手段として注目されているのが、保育ICTサービス「ウェルキッズ(WEL-KIDS)」です。ウェルキッズのお便り機能を使うと、園からのお知らせを保護者に一斉配信できます。
既読・未読の確認機能も搭載。配信内容が読まれたかをリアルタイムで把握でき、未読の方にだけ再送することも可能。大切な連絡の通知漏れを防ぎます。
アンケート作成機能もあり、行事の参加可否などをスマホから簡単に回答してもらえます。単一選択・複数選択・自由記述など設問形式も幅広く設定でき、回答状況や集計結果もすぐに確認できます。
ウェルキッズを導入すれば、お便り業務の「作成・配信・確認・集計」が効率化。先生方の負担を減らしながら、保護者への発信力を強化できる頼れるツールです。
まとめ
保育園のお便りは、単なる連絡手段ではなく、子どもの日常や成長を伝え、園と家庭の信頼をつなぐ大切なツールです。月ごとの季節感を取り入れた挨拶や、子どもの姿が浮かぶような描写を意識すると、保護者の心に届くお便りになります。
書く内容に迷ったときは、日々の記録や定型文を活用し、ICTシステムの力も取り入れるのがおすすめです。負担を減らしながら質の高い発信を続けられます。今回ご紹介した文例や書き方のコツをヒントに、ぜひご自身の言葉で伝わるお便りを届けてみましょう。