企業主導型保育の問題点とは?メリットや対応方法とともに解説

企業主導型保育とは、企業が従業員のために設置し運営する保育園です。
保育園にとっても企業で働く従業員にとっても、さまざまなメリットがある企業主導型保育ですが、問題点がないのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では企業主導型保育事業の特徴や問題点について具体的に紹介します。
さらに問題点に対する対応方法も説明しますので参考にしていただけたらと思います。

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企業主導型保育とは

企業主導型保育事業とは、待機児童問題の解消のために設けられた制度及び事業形態です。企業主導型保育では、様々な形態で働く人々に対応できるよう、柔軟なサービスを提供できます。

また、企業が「認可外保育園」として保育園を開設するため、自治体の認可は不要です。さらに、保育園と利用者が直接契約できるため、利用者は自治体の認定が必要ありません。

企業主導型保育の保育料

企業主導型保育園では、園独自で保育料の設定をしているため、世帯収入によって保育料が変化するというわけではありません。

さらに、企業主導型保育園は認可外であるにもかかわらず、国や自治体から補助金を受け取れるため、一般的な認可外保育園と比較すると保育料が安くなるケースが多々あります。

また、年齢や地域枠で入園しているかで詳細が変わってきますが、企業主導型保育園は保育料無償化の対象となります。

企業主導型保育が推進された背景

政府が企業主導型保育事業を推進した背景としては、「待機児童問題」が挙げられます。

時代の変化とともに、保育ニーズが高まっている現代で、地域によっては、子どもの保育を必要としている人々が、子どもを保育園に預けられないといった状況が発生しています。

企業主導型保育事業は、このような待機児童問題を解消するための1つの施策として導入されました。

企業主導型保育の特徴

ここでは企業主導型保育事業の特徴について、保育園の柔軟な対応や地域枠などの4つの観点から説明していきます。

子育てする社員の様々な働き方に対応することができる

時代の変化に伴い、子どもを預ける保護者の働き方は多様になっています。
そのような多様化する働き方に対応しやすいのが、企業主導型保育園です。

夜間保育や、遅い時間までの延長保育、休日保育、短時間保育など、利用者に合わせて柔軟に対応することができます。

企業の従業員に適した場所・形式で開設できる

企業主導型保育園は企業が自社社員と地域のために開設しているので、当然ながら企業で働く従業員は子どもを預けられる対象となります。

保育園を職場近くに設置することで、子どもの送り迎えが容易になります。
さらに自社内に設置する場合は、仕事をしながらでも自分の子どもの様子を伺うことも可能です。また、従業員の働き方に応じた保育サービスが提供できるため、夜間や休日の保育、短時間保育など柔軟な対応が期待できます。

複数企業での共同運営や利用が可能

企業主導型保育園を持ちたいと思っても、考えなければいけないのが運営リスクです。

例えば、保育園の設置や園児・先生の確保まで、すべて自分たちが担わなくてはいけません。そのため、運営面での負担や初期投資が大きくなることが考えられます。このようなリスクを考えてしまうと、新規開園を踏みとどまる人も多いのではないでしょうか。

しかし、企業主導型保育事業は複数企業による共同運営が可能なため、リスクを分散することができます。さらに、保育園の運営に不安がある場合は、外部に委託することも可能です。

「地域枠」による従業員枠以外の受け入れができる

企業主導型保育園には「地域枠」が存在します。「地域枠」とは、従業員以外の地域の子どもの受け入れが可能であるというものです。
そのため、園児数不足のリスクを回避しやすく、園児数を維持することが可能になります。

企業主導型保育のメリット

それでは、企業主導型保育事業のメリットとしてどのような点が挙げられるのかを、経営者、利用者、地域の3つの観点から詳しく説明します。

保育園を運営するメリット

開設・経営がしやすい

企業主導型保育園は外部委託が可能であり、設立や運営に関わる多くの業務を外部の業者に任せられます。
そのため、新規開園あるいは園運営の経験がない場合でも、外部委託により、開設が簡単に行えます。

また、認可外保育園でありながら、国から助成金を受け取ることができるため、コストを軽減することができます。

さらに、複数企業で共同設置できるため、経営上のリスクを軽減できます。

優秀な従業員の確保が可能になる

企業主導型保育園の運営により、従業員が子育てのために離職する、また、優秀な人材が子育てと仕事の両立のため、子育て支援が充実していない企業を選ばなくなる、といったリスクを避けることができます。

企業イメージの向上につながる

企業主導型保育園があることによって、出産後も安心して働ける仕組みが整っていることをアピールすることができます。

子育てをはじめとした社員のライフステージの変化をしっかりと理解し、サポートする準備がある企業としてイメージの向上にもつながります。

企業主導型保育の利用者にとってのメリット 

ライフステージに合わせた働き方が可能になる

企業主導型保育園を保有する企業に勤めることで、結婚や女性においては出産、子育てなどのライフステージに合わせた働き方が可能になります。

そのため、出産後に子どもを保育園に預けられないため仕事に復帰できないなどのリスクを回避できます。

認可園に比べて従業員が利用しやすい

企業主導型保育園は、企業が設置主体であるため、事業内容を考慮したり、企業で働く従業員にヒアリングを実施したりすることで、従業員のニーズに沿った運営を行うことが可能です。
そのため、一般的な認可園よりも従業員にとっては利用しやすい園であると言えます。

また、従業員は子どもを預けることができる対象となるため、認可保育園よりも入園しやすい場合があります。

地域にとってのメリット

企業主導型保育園は、企業の従業員の子どもだけが預けられるわけではありません。定員の最大50%までは地域枠として、地域の人々に保育を提供できます。

待機児童を抱える地域の救済策となるため、大きな地域貢献ともなります。

企業主導型保育の問題と考えられる対策

上記で企業主導型保育事業のメリットを述べてきましたが、実際には様々な問題もあります。
ここでは、保育の質、保育士不足、児童の定員割れ、地域枠の4つの点に関する問題とその対応方法について説明します。

保育の質に関する問題

企業主導型保育園では、職員の半数に保育士資格を保有してない保育補助スタッフが配置される場合があります。そのため、保育の負担の増加や、それに伴う保育の質の低下が見込まれます。

また、企業が運営している保育園であるため独自のカリキュラムを取り入れている保育園もあり、保育園の運営が初めての場合、安心できるサービス提供に至っていない場合もあります。

対応方法

政府は、企業主導型保育園の実態を踏まえ、委託業者に5年以上の実績を義務付けるなどの対策を目指しています。

また、園が保育士の割合を増加させることによって、保育に関わるスタッフ全体での保育経験や知識の不足を改善し、保育の質の向上が期待できるでしょう。

保育士不足に関する問題

企業主導型保育園は、保育とは異なる分野の企業が運営しているため、経営方針や保育計画などの整備が不足している場合があり、その状況に不安を覚える保育士が多くなると、保育士の確保は困難になります。

また、企業主導型保育園ではスタッフへの待遇があまり良くないことが多く、保育士の採用に苦労することがあります。

対応方法

対応方法として、共同運営・共同利用や外部委託方式があります。共同運営や共同利用によって複数企業運営となり、給与等待遇面での改善や、単独設置に比べて規模を大きくすることが期待できます。

また、外部委託では、保育士などの求人採用にノウハウがある保育事業者に任せることができます。

これらの対応により、より多くの保育士を確保できるでしょう。

児童の定員割れ問題

定員割れの原因は様々です。

例えば、事前のリサーチ不足によって、園を利用したい社員が少なかったり、数年で利用したい社員がいなくなってしまったりと、需要と供給が成り立たないことがあります。

また、保育の質の低下により、保護者や児童が不安になることもあります。その場合、利用者は減少し、定員割れを起こす要因となります。

対応方法

事前に社内調査を行い、保育を必要としている社員を把握することで、設立後の需要のズレを解消します。

また、運営者による保育士の確保や政府による保育の質を向上させるための対策などをもって保育内容を改善することで、保育園に対する信頼と安心が高まり、利用者の増加につながります。

地域枠に関する問題

十分な調査を行わないまま地域枠を設定してしまうと、需要が予測できず未知数のままとなり、定員割れが発生する可能性が高まります。

また、原則で地域枠は全体の50%を限度として定められているため、それ以上の人数を受け入れることが難しくなります。その結果、地域枠は満たせても、それ以外の枠は空いたままになってしまうことがあります。

対応方法

地域との連携手段として、商工会議所などを通じて企業主導型保育園の存在を知らせることによって、地域の子どもを預けたい保護者に認知してもらえるなど利用の幅を広げられることが期待できます。

また、提携している企業と定員枠を共有したり、近場のオフィスや施設を利用している人々に優先的に保育園を利用してもらうことで、定員枠の空きを回避できるでしょう。

まとめ

さて、これまで企業主導型保育園とは何か、メリット・デメリット、そして課題や対応策について解説してきました。

企業主導型保育園とはいえ、子どもを預かる業務では他の保育園と変わりありません。そのような保育園における問題の一つは膨大な事務作業です。

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