こんにちは。「ウェルキッズ」ライターチームです。
保育園のICT化とは、保育園の運営にICTシステムを導入することを意味します。システムを利用していなくても「ICT化推進」などのキーワードはおそらく皆さん耳にしたことがあるのではないでしょうか。
この記事では自身の保育施設へのICT導入を検討している方向けに、知っているようで意外と知らない、保育ICTについて、基本的な部分おさらいから、メリットや課題点、さらには気になる「システムの選び方」まで、全体像をつかめるように手短にまとめました。
ICTを活用した保育園の運営効率化にお役立てください。
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目次
ICTとは?
様々な場面で活用が進んでいる「ICT」は、保育園の様々な業務をサポートする存在として年々重要さを増しています。今回は、保育ICT化の背景やメリットから課題点、そして気になるシステムの選び方までをわかりやすく解説していきます。
ICTは通信を活用した共有方法
ICTとよく似た言葉に、情報通信「IT」があります。ITとICTとの違いとしては、Cにあたるコミュニケーションの部分です。
ICT(Information and Communication Technology)は情報通信ITを利用して人とインターネットや、人と人を繋ぐコミュニケーションを助ける情報通信技術のことを指します。
保育園のICT化の背景
さて、保育園のICT化には、一体どういった背景があるのでしょうか。
ここでは日本のICT化推進についての概要や保育園への導入を促進している背景について触れていきます。
政府によるICT化推進
日本が抱える社会の問題に対応するため、政府は様々な分野でのICTの活用を推進しています。
ICTの活用には環境の整備やシステムの導入費用が必要となります。そのため、各分野でのICT活用促進事業によって、導入費用の一部を補助する制度が設けられることも多いです。従来の方法では解決が難しい課題の解消を助けるためのICTを導入できるよう、補助金が整備されています。
保育園も対象となるICT化補助金制度
ICT化を促進するための事業および補助金にはいくつもの種類が存在し、それらの制度を整備している主体としても内閣府、厚生労働省、文部科学省、東京都など様々です。
またそれぞれの助成要件や1施設あたりの最大補助金も異なっています。
下記に主要なICT化を補助する制度について、過去に実施された概要をご紹介します。
- 内閣府の企業主導型 保育事業 助成金「運営支援システム導入加算」
…1施設最大100万円まで
- 厚労省の保育所等におけるICT化推進事業補助金
…1施設最大100万円まで
- 文部科学省の園務改善のためのICT化支援事業補助金
…1施設最大72万円
- 東京都の保育所等におけるICT化推進事業補助
…1施設最大200万円まで
このように、様々な制度によってICT化の推進が図られています。
保育園での導入背景
保育園へのICT化が推進されている背景には、どのようなことがあるでしょうか?
ICT化推進の目的としては、保育士不足が課題となる中で、ICT化により保育園が抱える各種の業務に関する負荷の軽減を図り、保護者にとってもICTを活用した情報提供やコミュニケーションを促進および効率化させることによって保育園を利用しやすくなり、働きやすさの向上に繋がることとなります。
現在では保育業界が抱えている課題解決のためのICT化に加えて、ICTがもたらす新たな価値を保育の現場に活かすような取り組みも見られるようになっています。
保育園のICT化でできること
それでは次に、保育ICT化によってどのように業務や作業が変化するのかについてご紹介します。
紙で記録していたことがパソコンやタブレットなどに記録されるようになるといったインプットに関わる部分から、データの一元化のメリット、紙の配布や電話などに代わる新たな保護者とのコミュニケーション方法などについて、園児・職員・園の管理という3つの観点で見ていきましょう。
園児の管理
園児の管理においてICT化でわかりやすく変化する部分といえば、まずあげられるのは登園降園時間の管理でしょう。タッチパネルやアプリなどを使って登降園の時刻を記録することで、保育士が記録する手間が減り、さらに記録されたデータから延長料金の計算などもできるようになります。
その他にも、園から保護者への連絡事項やおたよりなどをwebやアプリで保護者へお届けできたり、連絡帳をアプリで見てもらうようにすることもできるサービスもあります。
職員の管理
園の職員に関してICT化で出来ることとしては、システムでの勤務時間記録、有給申請などの勤怠管理、保育士の配置基準を満たす出勤日の組み合わせをつくるシフト表の自動作成や、年間指導契約、月案・週案などの作成の効率化が挙げられます。
これらはパソコンだけでなく、タブレット端末やスマートフォンで利用できる場合があり、保育士の事務作業の負荷を軽減できる仕組みが準備されています。
園の管理
園務のICT化でできることには、自治体や施設、保護者などの条件によって変わる保育料の自動計算、ヒヤリハットのデータをシステムに集約し園内で共有・集計できる管理機能、日々の記録から必要な情報を集めて事務日誌の作成を補助する機能などがあります。
ICTシステムでは様々な情報が一元管理されるため、データを集計して活用する機能や、自治体への報告書類の作成をサポートする機能を持ったものもあります。
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保育園のICT化によるメリット
園のICT化によるメリットにはどんなものがあるのでしょうか。3つの観点からメリットをご紹介したいと思います。
保護者のメリット
園児の保護者がICT化によって得られるメリットには、主に園とのコミュニケーションに関するものが挙げられます。
例えば、お休みや遅刻などの連絡にwebやアプリを使うことで、時間帯を気にせずいつでも気兼ねなく連絡できるようになります。また、保育園からの連絡も同様にメールやアプリで受け取れるため、災害など緊急時もリアルタイムで情報を得られるほか、webやアプリ上でいつでも見返すことができるようになります。
職員のメリット
続いて園で働く保育士や事務員など職員のメリットをご紹介します。
ひとつはICT化によって業務効率化が進むことです。
保護者への連絡や事務作業をICTシステムがサポートすることで、これまでよりも効率よく作業を進めることができるようになり、残業時間の削減や書類作成の負担を軽減する効果が見込めます。
また、上記の作業効率化によって生まれた時間は、指導計画やイベントの準備・改善などに使うことができるようになります。
園のメリット
最後に、保育園の運営上のメリットを見てみましょう。
ICT化により職員の事務作業が軽減されるとともに、システム主体での運用に切り替わることで紙での記録を行う場面が減り、ペーパーレスによるコスト軽減効果が見込めます。加えて、情報を一元管理することで、最新の情報を素早く確認可能なため、働きやすさや労働環境の整備が図れる点も見逃せません。
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保育園のICT化における課題点
ここまで、ICT化によって出来るようになることやメリットについて見てきましたが、これらを実現するためにはいくつかの注意点があります。
ここでは気をつけておくべき箇所をピックアップして2つ取り上げます。
導入環境の整備
ひとつは、ICTシステムを利用するための環境面の整備です。
ほとんどのICTシステムは現在クラウドサービスの形式を取っており、利用するには園内で利用できるインターネット回線があること、また極端に通信速度が遅くないことが必要です。
システムの利用に使用するパソコンの性能はどのくらいのものが求められるか、タブレットやスマホのアプリを利用する際はどの機種が利用可能なのかを確認するとともに、機器を所有していない場合はパソコンやタブレットなどを調達するコストを試算しましょう。
操作への不安
二つ目としては、パソコンやタブレットの基本的な操作に対する不安への対策です。
これまでパソコンを利用する機会が少ないままICT化を進める場合、パソコンや機器の操作に慣れていないところからのスタートとなります。
システムの操作はそれほど複雑でない物が多いですが、困った時にすぐにサポートを受けたい場合は、ユーザーサポートがしっかりしているサービスを選ぶのが大切な目線になります。
近年はパソコンだけではなく、タブレットやスマートフォンで操作できるサービスも増えており、スマートフォンの操作が得意な職員もいれば、慣れていない職員もいるため、事前に練習をしておくと安心です。
また、職員側だけではなく、ICT化によって保護者に利用してもらう機能もあるため、保護者からの理解を得るための事前説明を行うことも重要です。
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保育園のICT化にかかる費用の目安
ICTシステムを使い始めるにあたって、費用はどのように考えれば良いでしょうか。
初期費用としては、パソコンやタブレットなどの機器費用や、園内のネットワーク環境を整備するための費用が必要になります。
また、ほとんどのICTシステムはクラウドサービス主流になっており、月額での利用料が発生します。
サービス毎に内容やプランが異なることから月額費用にはかなりの幅がありますが、最小限の利用で1ヶ月5000~1万円前後が目安となり、年間契約であることが多いです。
多くの機能を利用する場合はその分料金が上がりますが、定額ですべての機能を利用できるようにしていることが多く、本格的にICT化を進める場合はこちらの方がお得になります。
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保育園のICT化|システムの選び方
保育園の園務改善に重要な役割を果たすICTシステムですが、実際にどのサービスを利用するかを判断する観点、システムの選び方についてご紹介します。
機能が目的に合うか
ICT化で改善したい業務が明らかになっている場合は、ICTシステムの機能が改善したい業務に対応しているかを確認することが重要です。
保護者との連絡共有、職員の事務作業、園の情報管理など各分野に対してどのような機能を持っているかはサービスごとに異なり、同じ名前の機能でもできることには違いがあります。ICT化の目標や目的に合ったものを選びましょう。
サポート体制が整っているか
ICTシステムを導入し使いこなせる状態になるまでには、導入サポートを受け、操作を覚えて最低限の利用ができるだけでなく、保護者への説明や、効果的な利用方法を見つけていく必要もあります。
システムマニュアルがあってもすべてを読み込むことはなかなか難しいものです。特に、使い始めたもののどう操作したらいいかわからない状態が想定される場合には、サポート体制がしっかりしたサービスが安心です。
また、ICT化のメリットを最大限活かしたいと考えている方も、より効果的な利用方法について相談できるカスタマーサポートが受けられると、園のICT化に課題が見つかった場合も解決が早まります。
このことから、充分なサポート体制が整っているかどうかもICTシステムを選ぶ際の重要な観点と言えます。
各種補助金に対応しているか
保育ICTシステムの導入には、内閣府や厚労省などの補助金が受けられることがあります。
導入時に補助が受けられる条件を満たしたシステムであるかも確認しておきたいポイントです。
まとめ
本記事では、保育ICTについての基本、できることやメリット、導入や活用にあたって注意したい点や課題点、費用、選び方をご紹介してきました。
園に合ったICTシステムで保育ICT化の効果を最大限発揮させて園務を改善するとともに、保育の質向上にかける時間を生み出す活用ができることを目指しましょう。