学童のICT化でできることは?補助金やICTシステムも紹介

学童(学童保育)は「放課後児童健全育成事業」の一般的な呼び方で、他に放課後児童クラブ、学童クラブ等と呼ばれている施設です。近年、学童のICT化が推進されていることをご存じでしょうか。

学童のICT化とは、学童の事務作業や様々な管理業務にICTシステムを取り入れることを指し、業務効率化による職員の負担軽減や利用児童の安全確保を図るために、厚生労働省がICT環境の整備を推進しています。 この記事では、自身が経営する学童にICTシステムの導入を検討されている方向けに、ICTの概要やICTシステムでできること、ICTシステムの選び方まで紹介していきます。ICTシステムを活用した学童の業務効率化に是非お役立てください。

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ICTとは?

ICTとは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、「Communication」から読み取れるように、インターネットを活用したコミュニケーションを意味します。
そしてICTシステムは、インターネットを利用したコミュニケーションを行うツールを指し、身近なツールとしてはメールやSNSなどが挙げられます。

学童のICT化の背景

ここでは、学童のICT化の背景について、国による産業全般へのICT化推進の概要とあわせて解説します。

国によるICT化推進

現在の日本では、少子高齢化をはじめとする様々な社会問題と、それを原因とする経済的損失をICTの利活用によって改善しようとする動きが取られています。生産年齢人口が減少することで生じる地域経済の悪化や生産力の低下に対して、ICT技術や機器への投資を行うことで防ごうとしており、企業などが一定の水準を満たしたICT化を行う際にその費用の一部を補助する制度を整備しています。

学童のICT化推進の背景

学童へのICT化が推進されている背景としては、共働き世帯が増えたことで保育園と同様に待機児童が発生するほど利用児童数が増大し、常に定員ギリギリの状態で運営することで、学童の質を保てる人数の職員を確保することが難しくなっていることが挙げられます。

地方の学童の人材確保が難しいとの要望を受け、令和元年6月に交付された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(第9次地方分権一括法)にて、これまで全国一律で規定されていた「児童数おおむね40人以下の1教室あたり原則2人以上」という学童の職員配置基準を緩和して、市町村の条例で配置人数を定められるようになりました。

職員が1人で1教室を運営することも実質可能となりましたが、このような状況では職員1人1人の負担が増大し、学童の質の低下に繋がります。また、労働環境が悪化することで職員の人材確保がさらに難しくなるほか、学童を利用する児童の安全が十分に確保できなくなる可能性すらあります。 そこで、職員の事務作業の効率化、学童の質向上を目的に学童のICT化が推進されることとなりました。

学童のICT化でできること

学童でICT化することによって変化する業務としてわかりやすいのは、入退室や職員のシフトなど、紙で管理していた様々な記録がタブレット端末やパソコンでいつでも入力・閲覧できるようになることです。また、保護者との連絡手段も電話からスマートフォンアプリに移行することが可能です。以下では、ICT化によってできることを、児童の管理・職員の管理・学童施設の管理の観点で具体的にご紹介していきます。

児童の管理

児童管理の点で最も変化する部分は、児童の入退室管理です。入退室の際に、アプリやタッチパネルを用いて入退室時間を記録し、同時に保護者のアプリに児童の入退室情報を通知することができます。欠席の児童や未入室の児童を一覧で把握できるほか、保護者の迎えが無く一人で帰宅する児童や、習い事の前後に学童を利用する児童など、様々な利用形態に対応しているため職員が一目で情報を把握できるようになります。

また、学童と保護者の間での連絡帳のやりとりやおたよりなどの配布もシステム上で行えるため、児童が入室していなくても連絡帳の記入や過去の情報の確認を行える上、保護者側は配布物の紛失リスクがなくなるため、情報を滞りなく全利用世帯に届けることができます。

職員の管理

ICTシステムを用いた職員管理では、勤怠の記録やシフトの自動作成が可能です。有給休暇や時間外労働の申請・管理はもちろん、放課後児童支援員の配置に問題がないようシフトを自動で作成できるシステムもあります。そのため、正社員やパート・アルバイトなど、様々な雇用形態で働く職員の管理が可能です。
また、日々の出勤情報とシフトのデータを照合して給与の自動計算をすることも可能です。

学童施設の管理

学童の利用料金は、自治体や施設によって異なります。また、土曜日・長期休暇中の利用や、食事・おやつの提供の有無、その他施設独自のオプション利用などを考慮すると、利用料金の計算が煩雑になってしまいます。
ICTシステムを活用する場合は、予め児童ごとに利用プランを登録し、実際の入退室データと照合することで利用料金を自動計算することができます。

学童のICT化によるメリット

以下では、学童をICT化することで得られるメリットについて、保護者、職員、学童経営者の3つの観点から紹介します。

保護者のメリット

児童の保護者が学童のICT化によって得られるメリットとしては、学童との連絡にかかる手間が大きく減少することが挙げられます。

児童の欠席・早退などの連絡をアプリ上から行えるため、通勤中や休憩時間など、時間を気にせず連絡することが可能です。学童からの連絡も同様にメールやアプリで確認できるため、過去の連絡事項をスマートフォン上で見返すことができます。
さらに、前述したとおり児童の入退室情報がメール等にて通知されるほか、災害など緊急時にも学童からの連絡をリアルタイムで受け取ることができるため、安心感を得られるのもポイントです。

職員のメリット

学童で働く職員のメリットの最たるものとしては、業務効率化が挙げられます。

例えば、これまで紙に記入した情報をもとにして、誰がどのような利用プランで何回利用したかを月次で集計していたものが、ICT化することで自動集計できるようになります。児童1人1人に設定された利用プランの情報と入退室記録が結びつくことで、ICTシステム内の処理で集計ができるようになります。

また、今までは児童の欠席連絡などを電話でやりとりしていましたが、こちらもICTシステム上で連絡を受けることができるため、電話対応に割いていた時間や人員を本来の仕事である保育に向けたり、休憩時間を増やしたりすることができます。 上記以外にも様々な業務がICTシステムで完結するようになるため、残業時間の削減や事務作業の負担軽減に繋がります。

学童経営者のメリット

学童経営者がICT化で得られるメリットとしては、ペーパーレス化の推進が図れるためコストが軽減できる点と、職員の事務作業負荷の軽減が挙げられます。

特に、職員の負荷が軽減することで、残業代などのコストが削減できるのはもちろんですが、労働環境が改善することで離職を防ぎ、人手不足のリスクを低下させることができます。

学童のICT化における注意点

学童のICT化には多数のメリットがある一方で、ICT化する上で押さえておかなければならない点がいくつかあります。以下では、特に注意するべき2点を解説します。

導入環境の整備

1つ目は、ICTシステムを利用するための環境整備です。ICTシステムを利用するには、インターネット環境の整備が必要です。また、インターネット回線の速度が遅い場合や、使用するパソコンやタブレット端末のスペックが低い場合、快適にICTシステムを利用することが難しくなります。
インターネット回線や機器の準備を行っていない場合は、ICTシステム業者にて選定・見積・手配をしてくれることがあるため、相談してみるのも1つの手です。

操作への不安

2つ目は、システム操作への不安です。職員の中には、パソコンやタブレット端末の操作が苦手な方もいらっしゃることと存じます。そのため、導入後のサポートだけでなく、システム稼働前の研修を十分に行ってくれるICTシステム業者を選ぶことが重要です。業者にて研修を行わない場合は、学童のシステム導入担当者が研修を行うか、パソコンが得意な職員が不得意な職員に教えるなど負担が発生してしまいます。

また、ICT化することによって、保護者にもシステムを利用してもらう場面が出てくるため、保護者の理解を得られるよう事前に説明を行うことも大切です。うまく説明できるか不安な場合はICTシステム業者にアドバイスを求めるなど、サポートを受けながら職員・保護者の不安を解消できると良いでしょう。

学童のICT化にかかる費用の目安

ICT化を行うにあたり、経営者としては費用がどの程度かかるのかが気になるところです。ICT化に必要な費用は、初期費用とランニングコストに分けて考える必要があります。

初期費用としては、システムを利用するために必要なタブレット端末やパソコンなどの機器の購入、インターネット環境の整備などが挙げられます。

ランニングコストとしては、ICTシステムの利用料金が挙げられます。ICTシステムは、インターネットを介してサービスを受けられるクラウドサービスが主流となっており、月額、あるいは年額で利用料を支払うことがほとんどです。年間契約となることが多く、最低限必要な機能のみを利用するプランの場合、費用の相場は1か月あたり5,000円~1万円程度となります。
利用する機能を増やすとその分利用料金も上がりますが、すべての機能を利用する場合は割安な料金形態のプランを提供しているICTシステム業者が多くいるため、学童業務全体のICT化を進めようと検討している場合はこちらのほうがお得になります。

IT学童のICTシステムの選び方

学童向けのICTシステムは多数の企業が製品を開発しているため、どの製品を選べば良いか悩んでしまう方が多いかと存じます。そこで、製品を選ぶポイントを3つご紹介します。

目的に合った機能が使えるか

1つ目のポイントは、機能が目的に合うかを考慮してICTシステムを選定することです。

学童の業務のうちICT化したい業務が限られている場合は、その業務に対応したICTシステムであることを確認することが大切です。

児童の入退室管理、保護者への連絡、職員の勤怠管理などそれぞれの業務に対し、各社で多種多様な機能を提供しています。機能の名前が同じでもできることが異なるなど、細かな仕様には違いがあるため注意しましょう。

十分なサポートが受けられるか

2つ目のポイントは、ICTシステムを導入する前後で十分なサポートが受けられるICTシステム業者を選ぶことです。

パソコンやタブレット端末を使い慣れていない方はもちろんですが、日常的にそういった機器を利用している方でも、初めて目にするシステムを使いこなすまでには時間がかかります。そのため、実際にICTシステムが稼働する前に、マニュアル配布や操作研修、保護者への説明方法のアドバイスなど適切なサポートを行っている業者を選ぶと安心です。

ICTシステム導入後も不明な点があれば都度相談に応じてくれたり、業者の側から困っている点がないかヒアリングしてくれたりするなど、サポート体制が整った業者を選ぶのが重要です。

補助金に対応しているか

3つ目のポイントは、導入を検討しているICTシステムが補助金交付の対象となるかという点です。

厚生労働省では、学童のICT化推進に対して予算を組んでおり、一定の基準を満たしたICTシステムの導入に対して自治体が主体となって補助金の交付を行っています。(1施設当たり50万円)

自治体によって交付の有無や時期は異なるため、補助金の交付については管轄の自治体に確認するようにしましょう。

参考:令和4年度第2次補正予算 保育関係予算の概要

まとめ

この記事では、学童でのICT化の背景からICTシステムでできること、ICTシステムの選び方などを解説してきました。

ICT化に興味があっても、普段の業務と並行して検討を進めるのは難しいと感じている方もいらっしゃるかと存じます。そこで、学童向けICTシステムを扱う業者に相談することをおすすめします。

学童・保育園・幼稚園・認定こども園の業務を支援するICTシステムを開発・運用するWEL-KIDSは、丁寧なヒアリングを通してICT化の効果が大きく見込める業務の見極めやICT化に対する課題解決をサポートいたします。オンラインでのお問い合わせや遠隔でのデモンストレーションも行っております。この機会にぜひお問い合わせください。

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