保育園のシフト管理とは?配置基準の考え方・作り方・効率化のポイントを解説

保育園における「シフト管理」とは、保育士や職員の勤務時間帯を、国が定める配置基準を満たしながら日々調整していく業務のことです。早番・遅番のバランスや休憩・休暇の確保、急な欠勤への対応まで、考慮すべき要素は多岐にわたります。

本記事では、シフト管理の基本的な考え方から配置基準の理解、具体的な作成手順、ICT化による効率化のポイントまで解説します。

保育園のシフト管理とは

まず、保育園のシフト管理がどのような業務を指すのか、その基本的な考え方を整理します。勤務時間帯の調整と、労働時間・休暇管理という2つの側面から見ていきましょう。

早番・遅番など勤務時間帯の調整

保育園は朝の開所前から夕方の延長保育終了時刻まで、長時間にわたって子どもを預かります。そのため、保育士は早番・中番・遅番といった複数の勤務時間帯に分かれて働くことが一般的です。

早番は開所前の受け入れ準備から、遅番は延長保育の対応から片付けまでを担当し、それぞれの時間帯で必要な人数を確保しなくてはなりません。

加えて、行事の準備や職員会議、研修などのスケジュールも考慮しながら、日々の勤務時間帯を組み立てていく必要があります。

職員の労働時間や休暇を管理する方法

シフト管理には、勤務時間帯の調整だけでなく、各職員の労働時間や休暇の状況を正確に把握することも含まれます。労働基準法で定められた法定労働時間や休憩時間、有給休暇の取得状況を踏まえ、特定の職員に負担が偏らないよう配慮することが大切です。

また、非常勤やパート職員が多い園では、契約上の勤務可能時間帯や日数の制約も考慮しなければならず、常勤職員以上に細かな調整が求められる場合があります。

シフト作成の前提となる配置基準

シフトを作成するうえで欠かせないのが、国が定める職員配置基準です。年齢別の基準と、近年の改正内容、加算要件について確認しておきましょう。

年齢別の配置基準(0〜5歳)の基本

保育所の職員配置基準は、子どもの年齢によって異なります。国が定める最低基準では、0歳児は子ども3人に対して保育士1人(3対1)、1歳児・2歳児は子ども6人に対して保育士1人(6対1)とされています。

3歳児は15対1、4歳児・5歳児は25対1が最低基準です(2026年度時点)。これらは、保育を行ううえで必要となる最低限の配置人数を示したものです。

実際のシフト作成では、登園・降園が集中する時間帯や休憩取得、行事対応なども踏まえ、基準以上の人員を配置する園も少なくありません。

2024年度改正(4・5歳25対1、3歳15対1)の反映

2024年度には、4・5歳児の配置基準が30対1から25対1へ、3歳児の配置基準が20対1から15対1へ改善されました。

これは、制度発足以来長く見直されてこなかった配置基準の改善であり、保育現場の負担軽減や保育の質向上が期待されています。

ただし、人材確保の状況を踏まえ、当分の間は従前の基準による運用も可能とする経過措置が設けられています。

常時基準を満たす配置と加算の要件

配置基準は、開所時間中いつでも満たしている必要があるため、シフト表を組む際は特定の時間帯で人数が不足しないよう注意が必要です。

4・5歳児の配置改善には「4歳以上児配置改善加算」、3歳児には「3歳児配置改善加算」が用意されており、加算を取得するには基準を満たす配置の継続が前提となります。

1歳児についても、ICT活用などの要件を満たした園から順次5対1への改善が進められています。

シフト作成の手順とコツ

配置基準を踏まえたうえで、実際にシフトを組む手順を見ていきます。必要人数の算出から急な欠勤対応まで、押さえておきたいポイントを紹介します。

必要人数の算出とコアタイムの把握

シフト作成では、クラスごとの在園児数と配置基準をもとに、時間帯ごとの必要人数を算出します。

例えば、1歳児クラスに12人の子どもが在籍している場合、配置基準(6対1)では保育士2人が必要です。ただし、実際のシフトでは登園・降園が集中する時間帯や、複数クラスを合同保育する時間帯も考慮しなければなりません。

以下は、配置基準をもとにした必要保育士数の目安です。

年齢配置基準子ども10人の場合の必要保育士数(目安)
0歳児3対14人
1歳・2歳児6対12人
3歳児15対11人
4・5歳児25対11人

午前9時の時点で0歳児6人、1歳児12人、3歳児15人が在園している場合、配置基準上は0歳児2人、1歳児2人、3歳児1人の計5人の保育士が必要になります。

一方で、登園が集中する時間帯や子どもの移動が多い時間帯では、基準人数だけでは対応が難しい場合もあります。そのため、開所直後や延長保育の時間帯など、在園児数が変動する時間帯ごとに必要人数をシミュレーションしておくことが重要です。

特に、子どもの人数が最も多くなるコアタイムを先に把握し、そこから早番・遅番へ人員を割り振ることで、配置漏れを防ぎながらバランスの取れたシフトを組みやすくなります。

早番・遅番・休憩・行事を組み込む

必要人数が把握できたら、早番・中番・遅番の勤務時間帯に職員を割り振っていきます。この際、各職員の休憩時間が配置基準を満たした状態で確保できているかを確認することが重要です。

休憩中の職員を人数から除いて計算すると、思わぬ人数不足が発覚することもあります。また、運動会や発表会などの行事がある日は、通常の保育時間に加えて準備や片付けの時間も考慮し、あらかじめ余裕を持った人員配置を組んでおくことが望ましいといえます。

急な欠勤・休暇への対応(応援・調整)

体調不良などによる急な欠勤は、どの園でも発生しやすいものです。あらかじめ、フリー保育士や応援可能な職員をリストアップしておく、他クラスからの応援ルールを決めておくなど、緊急時の調整方法を事前に取り決めておくことが有効です。

日頃から各職員の得意なクラスや対応可能な年齢層を把握しておくことも、急な欠勤時にスムーズな調整を行ううえで役立ちます。

シフト管理でよくある課題

シフト管理は、配置基準の遵守と職員の働きやすさの両立が求められる、負担の大きい業務です。現場でよく聞かれる課題を整理します。

作成に時間がかかり属人化しやすい

シフト作成は、配置基準や職員の希望、行事予定など多くの条件を同時に考慮する必要があるため、手作業で行うと多くの時間がかかります。

特に、経験豊富な特定の職員だけがシフト作成のコツを把握している状態になると、その職員が不在の際に作成が滞ったり、引き継ぎに時間がかかったりする属人化の問題が生じやすくなります。

担当者の急な休みや退職が、そのまま園全体の運営リスクにつながりかねません。

配置基準・労務のミスや不公平が起きやすい

手作業でのシフト作成では、特定の時間帯で配置基準を満たせていないことに気づかないまま運用してしまうリスクがあります。

また、特定の職員に早番や遅番、休日出勤が偏ることで、不公平感から職員の不満やモチベーション低下につながるケースも少なくありません。

労働時間の管理が不十分だと、法定労働時間や休憩時間の規定に抵触してしまう可能性もあり、労務面でのリスク管理という観点からも注意が必要です。

シフト管理をICT化・自動化する

こうした課題の多くは、シフト管理をICT化することで軽減できます。自動作成機能や勤怠管理との連携、システム選びのポイントを紹介します。

シフトの自動作成と勤怠・給与計算の連携

シフト管理システムを導入すると、配置基準や各職員の希望・契約条件を登録しておくだけで、条件を満たすシフト案を自動的に作成できる場合があります。

作成にかかる時間を大幅に短縮できるだけでなく、担当者の経験や勘に頼らない運用が可能になり、属人化の解消にもつながります。

さらに、勤怠管理や給与計算システムと連携できるシステムであれば、実際の勤務実績をもとにした給与計算までを一貫して行え、事務作業全体の効率化が期待できます。

配置基準チェックの自動化でミスを防ぐ

システムによっては、作成したシフトが各時間帯の配置基準を満たしているかを自動でチェックする機能を備えているものもあります。

基準を下回る時間帯があれば警告が表示されるため、手作業では見落としがちな配置漏れを未然に防ぐことができます。加算要件の管理にも活用できるため、正確な配置状況を継続的に維持しやすくなります。

シフト管理アプリ・システムの選び方と現場への定着のコツ

システムを選ぶ際は、自園の配置基準や勤務形態に対応しているかを確認することが重要です。あわせて、登降園管理など既存システムとの連携性も判断材料になります。

導入後は、まず一部のクラスや職員で試験運用を行い、操作に慣れた段階で園全体へ広げると、現場への定着を進めやすくなります。

よくある質問

配置基準の必要人数はどうやって計算すればいいですか?

在園児数を年齢別の配置基準の数値で割ることで、必要な保育士数の目安が算出できます。

ただし、休憩中の職員を除いた実配置人数で計算する必要があるため、実際にはやや余裕を持った人数を確保しておくことが望ましいといえます。

保育士が急に休んだ場合、配置基準を下回っても大丈夫ですか?

配置基準は開所時間中常に満たすことが求められるため、基準を下回った状態での保育は避ける必要があります。

あらかじめ応援可能な職員を確保しておく、近隣のクラスと合同保育を行うなど、事前に対応方法を決めておくことが大切です。

保育園のシフト作成には、どのくらい時間がかかりますか?

園の規模や条件の複雑さによって異なりますが、手作業の場合は月に数時間から十数時間程度かかることも珍しくありません。

職員数が多い園や、希望シフト制を採用している園ほど、調整に時間がかかる傾向があります。

シフト管理アプリを導入すると何が変わりますか?

シフト作成にかかる時間の短縮に加え、配置基準チェックの自動化によるミスの防止、勤怠・給与計算との連携による事務負担の軽減などが期待できます。

属人化していた業務を仕組み化できる点も大きな変化といえます。

まとめ

保育園のシフト管理は、国が定める配置基準を満たしながら、職員一人ひとりの勤務状況や働きやすさにも配慮する必要がある重要な業務です。

単に勤務時間を割り振るだけではなく、子どもの人数が変動する時間帯や休憩取得、急な欠勤への対応まで見据えた調整が求められます。

2024年度の配置基準改正など最新の制度を正しく理解し、必要人数を把握したうえでシフトを作成することが大切です。

さらに、ICTを活用して作成作業や確認業務を効率化すれば、担当者への負担集中を防ぎ、安定した園運営につながる仕組みを整えられます。

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