
先日、ある園の主任さんから、こんな相談をいただきました。
「最近、なんでもクレームをつけてくる保護者がいて、正直『モンスターペアレントかな?』って思ってしまうんです。でも、そう思ってしまう自分も嫌で…どう向き合ったらいいでしょうか?」
これ、本当によく聞く悩みです。

でも実は、「モンスターペアレント」って言葉が頭をよぎった時こそ、保護者支援の大きなチャンスだったりするんです。
目次
「モンスター」の正体は、実は「不安」だった
「うちの子だけ給食を残してるんじゃないか?」 「お友達にいじめられてないか?」 「先生たちはちゃんと見てくれてるのか?」
こんな不安が積み重なって、つい強い口調になってしまう保護者の方、実は結構多いんです。
私も園長時代、最初は「うわ、きた…」って思ってしまう保護者の方がいました。でも、よくよく話を聞いてみると、根っこには深い愛情と心配があることがほとんどでした。
つまり、「モンスターペアレント」じゃなくて「心配しすぎペアレント」だったんですね。
クレームの奥に隠れている「本当の気持ち」
よくあるクレーム → その裏にある気持ち
「なんで連絡帳に今日のことが詳しく書いてないんですか?」 → 「仕事で離れてる間、うちの子がどう過ごしてたか知りたい」
「他の子と比べて、うちの子だけ○○ができてないんじゃないですか?」 → 「うちの子の成長が心配。大丈夫かな?」
「お迎えの時、先生がバタバタしてて話しにくい」 → 「ちゃんと見てもらえてるのか不安。相談したいことがある」
「園の対応が他の保護者と違う気がする」 → 「うちの子だけ適当に扱われてない?特別扱いしてほしいわけじゃないけど…」
こう見ると、どれも親として当然の気持ちですよね。
“攻撃”を”信頼”に変える魔法の対応法
ステップ1:まず「受け止める」
クレームを言われた時、つい「でも」「しかし」って言いたくなりますが、まずは一旦受け止めてみましょう。
「そうですね、心配になりますよね」 「お母さんの気持ち、よくわかります」
ステップ2:「具体的に」聞く
「どの辺りが一番気になりますか?」 「いつ頃からそう感じられてましたか?」
漠然とした不安を、具体的にしてもらうことで、本当の問題が見えてきます。
ステップ3:「一緒に解決」の姿勢を見せる
「○○ちゃんのことを一番に考えて、一緒にどうしたらいいか考えましょう」 「お母さんと園で、○○ちゃんをサポートしていきたいと思います」
「困った保護者」が「協力的な保護者」に変わった実例
Aさんの場合
最初:「うちの子だけいつも洋服が汚れて帰ってくる!ちゃんと見ててくれてるんですか?」
対応後:毎日お迎えの時に「今日はどんな遊びをしたか」を具体的に伝えるようにしました。「今日は泥んこ遊びで、こんなに楽しそうでした」と写真も見せたり。
結果:「先生たちがこんなに見てくれてるなんて知りませんでした。汚れるのも成長の証ですね」と言ってくれるように。今では園の行事にも積極的に参加してくれています。
Bさんの場合
最初:「他の子と比べて、うちの子の発達が遅れてるんじゃないですか?なんで何もしてくれないんですか?」
対応後:月1回、10分程度の個別面談の時間を作って、お子さんの成長について詳しくお話しする時間を設けました。
結果:「こんなに細かく見てもらえて安心しました。家でも同じように関わってみます」と、今では家庭との連携がとてもスムーズに。
でも、正直言うと…一人で対応するのは大変ですよね
「理屈はわかるけど、実際にクレームを言われると頭が真っ白になる」 「どんな言葉をかけたらいいかわからない」 「スタッフによって対応にバラつきがあって困る」
そんな声、よく聞きます。
実は、保護者対応って「センス」や「経験」だけじゃなくて、ちゃんとした「技術」があるんです。 でも、多くの園では「なんとなく」「見よう見まね」でやってることが多いんですよね。
最後に:保護者の「心配」を「安心」に変えるお手伝いをしませんか?

「モンスターペアレント」って思ってしまう保護者の方も、実は園の一番の応援団になってくれる可能性を秘めています。
大切なのは、その不安や心配を受け止めて、「一緒に子どもを育てていく仲間」として関わっていくこと。
でも、一人でそれを学ぶのは大変です。だからこそ、園全体で「保護者支援の技術」を身につけていきませんか?
私も、日々の研修や相談を通じて、現場の先生たちが「保護者対応が楽しい」「やりがいがある」と感じられるよう、サポートしています。
※初回のご相談は無料です。お気軽にどうぞ!
次回【第7回】では、”新人保育士が保護者対応で自信をつけるための3つのステップ”についてお届けします。
現場のリアルな悩みに、一緒に向き合っていきましょう! お楽しみに♪
プロフィール:田村ますみ(たむらますみ)

保育園の育成トレーナー・研修講師として、保育士のスキルアップやチーム力向上を支援。園長経験を活かし、現場で役立つ実践的な研修を行う。自身の子育てや、不登校の子を支えた経験を通じ、保護者対応や子どもの心に寄り添う関わり方を伝えることが得意。一般社団法人「チェリッシュ」代表として、子育て支援にも尽力。
コーチングや心理学の専門資格を持ち、保育士が自信をもって子どもと向き合える環境づくりをサポートしている。