元園長と考える“ほごしゃしえん” 第10回:進級・卒園を控えた保護者の不安に寄り添う──この時期だからこそ大切な声かけ

こんにちは、田村ますみです。

2月になりましたね。まだまだ寒い日が続きますが、少しずつ春の気配も感じる季節です。そして、保育現場では「進級・卒園」が少しずつ近づいてくる時期でもあります。

先日、ある保育士さんからこんな相談がありました。

「年長児の保護者から『小学校、大丈夫でしょうか?』って不安そうに聞かれて…なんて答えたらいいかわからなくて」

この時期ならではの悩みですね。

2月〜3月って、保護者の不安が一気に高まる時期なんです。「小学校でやっていけるかな?」「次のクラスで馴染めるかな?」「新しい先生と仲良くできるかな?」 今日は、そんな保護者の不安に寄り添う声かけについてお伝えしますね。

なぜこの時期、保護者の不安が高まるのか?

保護者の不安、よくわかりますよね。でも、なぜこの時期に特に高まるのか?理由があるんです。

理由1:「変化」への恐れ
今の環境に慣れてきた頃に「次」が見えてくると、「大丈夫かな?」って不安になります。特に、「知らない環境」「新しい人間関係」って、大人でも怖いですよね。

理由2:「我が子だけ」という心配
周りの子と比べて、「うちの子だけできてないんじゃないか」って心配になります。特に卒園を控えた保護者は、「小学校でみんなと同じようにできるか」がすごく気になるんです。

理由3:「今の先生との別れ」への寂しさ
信頼関係ができている先生との別れって、保護者にとっても寂しいもの。「次の先生も、この先生みたいに見てくれるかな?」そんな気持ちもあります。

不安を安心に変える「3つの声かけステップ」

じゃあ、こういう不安にどう応えたらいいのか?3つのステップをお伝えしますね。

ステップ1:不安を「受け止める」
まず、保護者の不安を否定せずに受け止めます。

❌「大丈夫ですよ、心配しすぎです」
⭕「心配になりますよね。親として当然の気持ちだと思います」

まず共感。これが大事です。

ステップ2:「今の成長」を具体的に伝える
不安になるのは、「今の姿」が見えていないから。今どれだけ成長しているかを具体的に伝えます。

⭕「実は、○○ちゃん、4月の頃と比べてこんなに成長してるんです。例えば…」

具体例を3つくらい挙げると、保護者は「あ、こんなに成長してたんだ」って実感できます。

ステップ3:「未来」を肯定的に描く
最後に、未来への期待を伝えます。

⭕「この調子で成長していけば、きっと○○も大丈夫ですよ」
⭕「○○ちゃんには、ちゃんと力がついてますから」

不安から期待へ。気持ちを切り替えるお手伝いをします。

具体的な場面別対応例

実際の場面で使える対応例をご紹介しますね。

場面1:「小学校、大丈夫でしょうか?」(年長児保護者)
保護者の訴え 「うちの子、まだひらがなも完璧じゃないし、小学校でついていけるか心配で…」

こう応える 「心配になりますよね。でも、○○くんは今、もっと大切な力をたくさん育ててるんですよ。例えば、お友達と協力して何かを作り上げる力。最近の制作活動で、○○くんが『こうしたらいいんじゃない?』ってアイデアを出して、みんなをまとめてたんです。

それから、最後まで諦めない力。難しいことがあっても『もう一回やってみる』って言える○○くん、すごいですよね。

ひらがなって、興味を持ったタイミングでグッと伸びるんです。でも、今○○くんが育ててる『考える力』『協力する力』『諦めない力』は、すべての学習の土台になります。小学校に入ってから、この土台があるからこそ、ひらがなも算数も、どんどん吸収していけるんですよ。だから大丈夫。○○くんには、ちゃんと力がついてます」

場面2:「次のクラス、大丈夫でしょうか?」(2歳児保護者)
保護者の訴え 「うちの子、まだイヤイヤがひどくて…次のクラスで迷惑かけないか心配です」

こう応える 「気になっちゃいますよね。でも、実は○○ちゃん、イヤイヤの中でもすごく成長してるんです。4月の頃は、嫌なことがあると泣いて固まってたんですけど、今は『イヤ!』って言葉で伝えられるようになりましたよね。これって大きな成長なんです。

自分の気持ちを言葉で伝えられるって、すごく大事なこと。これができるようになったら、次は『でも、こうしてみる』って折り合いをつける力が育っていきます。ですから、安心してくださいね」

最後の2ヶ月で伝えたい「成長の軌跡」

2月〜3月は、1年間の成長を振り返る大切な時期です。

「成長の記録」を保護者と共有する
連絡帳で振り返る 「4月の○○ちゃんは…でしたが、今は…になりましたね」

お迎え時に伝える 「1年前の写真見たんですけど、○○くん、こんなに大きくなって!」

個人面談で丁寧に 「1年間の成長を一緒に振り返りたいです」

こうやって成長を実感してもらうことで、保護者の不安が「期待」に変わっていきます。

「感謝」を伝える
最後の2ヶ月、保護者に「ありがとう」を伝えましょう。

「お母さんとの連携があったから、○○ちゃんがこんなに成長できました」

 「○○くんの成長を一緒に見守らせていただいて、幸せでした」 この言葉が、保護者の心を温めて、「次も頑張ろう」って気持ちにしてくれます。

最後に:不安を「次へのエネルギー」に変える

進級・卒園を前にした保護者の不安。それは、「子どもの幸せを願う気持ち」の裏返しなんです。

だから、私たち保育士ができることは、その不安に寄り添って、「大丈夫、この子は成長してます」「次のステップに進む準備ができてます」って伝えること。

そして、「一緒に見守ってきた1年間」を振り返って、保護者と一緒に成長を喜ぶこと。それが、保護者の不安を「次へのエネルギー」に変えていくんです。最後の2ヶ月、保護者との時間を大切にしてくださいね。

「進級・卒園期の保護者支援について学びたい」と思ったら

私の研修では、この時期ならではの保護者支援について、具体的に学べます。

□ 保護者の不安にどう応えていいかわからない
□ 成長の伝え方を学びたい
□ 引き継ぎを丁寧にしたい
□ 最後の2ヶ月を大切にしたい

一つでも当てはまったら、お気軽にご相談くださいね。

プロフィール:田村ますみ(たむらますみ)

保育園の育成トレーナー・研修講師として、保育士のスキルアップやチーム力向上を支援。園長経験を活かし、現場で役立つ実践的な研修を行う。自身の子育てや、不登校の子を支えた経験を通じ、保護者対応や子どもの心に寄り添う関わり方を伝えることが得意。一般社団法人「チェリッシュ」代表として、子育て支援にも尽力。

コーチングや心理学の専門資格を持ち、保育士が自信をもって子どもと向き合える環境づくりをサポートしている。

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