
こんにちは、すっかり寒くなりましたね。日が暮れるのも早くなって、連絡帳を書く時間がどんどん押しちゃう…なんてことありませんか?
先日、複数の園で同じような悩みを聞きました。
「連絡帳、何を書けばいいかわからなくて、毎日同じようなことばかり書いてます」
「保護者からの返信がない…ちゃんと読んでもらえてるのかな?」
「書くのに時間がかかりすぎて、残業が増えてる」

あー、わかります。連絡帳って、地味に悩ましいですよね。 でも実は、連絡帳は「保護者との信頼関係を作る最強ツール」なんです。
今日はその書き方のコツ、お伝えしますね。
目次
なぜ「今日も元気でした」では物足りないのか?
保護者が連絡帳を読み飛ばしてしまう理由、実はこれです。
読まれない連絡帳の特徴
・事実だけが並んでいる→「…で?」
・毎日同じパターン→「昨日と同じだな」
・保育士の感情が見えない→「機械的だな…」
保護者が求めているのは「安否確認」じゃなくて「今日のストーリー」なんです。
保護者が本当に知りたい「3つのこと」
私が園長時代に保護者からのご意見で、圧倒的に多かったのがこの3つでした。
1. うちの子の”今日の姿”
具体的な様子。どんな遊びをして、どんな表情だったか。
2. うちの子の”成長”
小さな変化。昨日よりできるようになったこと、がんばっていたこと。
3. 「大切にされている」という実感
先生がちゃんと見てくれている、この子のことを気にかけてくれているという安心感。この3つを伝えられたら、保護者は「今日も安心して預けられた」と思って帰れるんです。
5分で書ける!心に届く連絡帳の型
「時間がない!」って声、よく聞きます。20人のクラスなら連絡帳だけで1時間以上かかりますよね。
だから、効率的に書ける基本の型をお伝えします。
【4ステップの型】
1. 導入(一言で今日の様子)
2. 具体的エピソード(1つ)
3. 成長や気づき
4. 締めの言葉
例:今日も○○ちゃんらしく、元気いっぱいでした。(導入)
朝の準備の時、自分でスモックのボタンに挑戦していて、うまくいかなくて「むー!」って唸ってたんですが、最後まで諦めずに全部留められたんです!(エピソード)
1ヶ月前は「できない」って諦めちゃってたのに、「やってみる」気持ちが育ってきたんだなぁって感じました。(成長)
明日も○○ちゃんの”やってみる”を応援しますね!(締め)
この型に当てはめるだけで、5分で書けます。
時短のコツ:午睡中に一言メモ
午睡の時間に、各子どもの「今日のキラリポイント」を一言だけメモ。
○○ちゃん→砂場で集中→30分
△△くん→給食ピーマン→半分食べた
□□ちゃん→お友達に「どうぞ」→優しい これがあれば、後でスラスラ書けます。
NG例とOK例──印象がガラッと変わる表現
場面1:お友達とトラブルがあった日
❌NG例
「今日、○○くんがお友達とケンカをしました。叩いてしまったので、注意しました。お家でも言い聞かせてください」
→保護者の心の声:「うちの子だけ悪いの?責められてる気分…」
⭕OK例
「今日、○○くんとお友達がおもちゃの取り合いになり、手が出てしまう場面がありました。でも、その後の○○くんがすごかったんです。自分から『ごめんね』と言えて、『一緒に使おう』と提案できました。感情をコントロールするのは難しいのに、少しずつできるようになってきて、成長を感じました。お家での関わりが実を結んでいるなと思います」
→保護者の心の声:「成長してるんだな。先生が味方でいてくれる」
場面2:特に大きな出来事がなかった日
❌NG例
「今日も元気に過ごしました。体調の変化もありません」
→保護者の心の声:「それだけ?何してたの?」
⭕OK例
「今日は静かな雨の日でしたが、○○ちゃんは室内でじっくりブロック遊びを楽しんでいました。黙々と積み上げていく集中力と、完成した時の『できた!』っていう満足そうな顔。こういう”じっくり向き合う時間”も大切だなぁと感じました。雨の日も、○○ちゃんなりの楽しみ方を見つけていて、素敵でした」
→保護者の心の声:「先生、ちゃんと見ててくれてる。嬉しい」
「でも、いいエピソードが見つからない日も…」
わかります。そんな時は、こんな視点で探してみてください。
「変化」を探す視点
昨日より○○ができるようになった、朝より午後の方が○○だった
「個性」を伝える視点
この子らしい行動、この子ならではのこだわり
「日常」を特別にする視点
❌「手洗いをしました」
⭕「手洗いの時、泡をじっと見つめて『ふわふわだね』って嬉しそうにしてました。そういう小さな発見を楽しめる○○くんの感性、素敵だなと思います」
特別な出来事じゃなくても、見方を変えれば特別になるんです。
連絡帳が「保護者支援の入り口」になる
実は、連絡帳って「保護者支援の入り口」なんです。
連絡帳で信頼関係ができていると、保護者は「ちょっと相談したいことがあって…」って声をかけやすくなります。
逆に、連絡帳が事務的だと、保護者は「この先生に相談しても…」って思ってしまう。
つまり、連絡帳に時間をかけることは、決して無駄じゃないんです。むしろ、保護者との信頼関係を築く、最も効率的な方法かもしれません。 最後に:あなたの言葉が、保護者を支えている

毎日の連絡帳、大変ですよね。
でも、あなたが書いた一行一行が、保護者の不安を安心に変えて、明日への活力になっているんです。
「今日も頑張ろう」「この園に預けてよかった」「先生に感謝」
そんな気持ちを、あなたの連絡帳が育てています。だから、自信を持って書いてくださいね。あなたの言葉は、確実に届いています。
プロフィール:田村ますみ(たむらますみ)

保育園の育成トレーナー・研修講師として、保育士のスキルアップやチーム力向上を支援。園長経験を活かし、現場で役立つ実践的な研修を行う。自身の子育てや、不登校の子を支えた経験を通じ、保護者対応や子どもの心に寄り添う関わり方を伝えることが得意。一般社団法人「チェリッシュ」代表として、子育て支援にも尽力。
コーチングや心理学の専門資格を持ち、保育士が自信をもって子どもと向き合える環境づくりをサポートしている。
