未来を見つめた幼児の言語教育について【第3回】WithBook English online による「毎日えいご」と探究活動について

保育・療育・教育事業を展開する株式会社アイ・エス・シーが、「保育事業者」と「自己探究プログラムの開発事業者」双方の視点から、「ことば」や「その子らしさを育くむコミュニケーション」に関わるお役立ち情報を提供していきます。

前回のまとめ

  • 情報化・価値観の多様化の中で、これまで以上に「自己探究」や「主体性を大切にした保育」が重要視されるようになってきている
  • 言葉を豊かにし、その子らしさを育む活動をサポートする「WithBookプログラム」
  • 言語への親しみと探究活動の融合を目指す「WithBook English online」について
  • 「WithBook English online」導入園の感想と、子どもたちの取り組みについて

「言語教育」と「探究活動」の深いかかわり活動

幼児期は、言語の習得や探究活動がとても活発な時期です。この時期の経験が、その後の勉強や社会生活に大きな影響を与えることがよく知られています。

言語の習得について考えると、まず子どもたちは周りの人の話す言葉を聞き、真似をしながら言葉を覚えていきます。この過程は、単に言葉の数が増えるだけでなく、考える力コミュニケーション能力の発達にもつながります。周りの大人が豊かな言葉を与えられる環境づくりは、子どもの言葉の発達を助ける鍵となります。

次に、探究活動についてです。探究活動は、子どもたちの好奇心を刺激し、学びの基礎を作る重要な役割を果たします。遊びや実験を通じて周りの世界に興味を持ち、観察し、質問し、調べることで理解を深めます。例えば、砂場で遊んだり、ブロックを組み立てたりすることは、物理の法則や因果関係を学ぶ良い機会です。これらの活動を通じて、子どもたちは問題解決能力や創造力を育てます。

言語習得と探究活動は、互いに深く関連しており、どちらも子どもたちの全体的な発達に欠かせません。両方をバランスよく取り入れることが大切と言えるでしょう。

海外の探究活動事例の紹介

世界中の保育・教育分野で注目されている探究活動。海外では、どのような探究活動や取り組みが行われているのでしょうか?その一例をご紹介します。

デンマーク:「森のようちえん」
自然の中で探求活動を行う教育モデルで、子どもたちは毎日森の中で過ごし、自然の中での探究活動を通じて様々なことを学びます。木の実や葉っぱを使ったクラフト活動や、動物の足跡を追跡する活動などを行う中で、非認知能力を育みます。

●イタリア:「Reggio Emilia(レッジョ・エミリア)」アプローチ
主にアートやクラフトを通じて、表現力、探究心を育む活動。グループで探究を行うこと、ドキュメンテーションを通じて、保育者や保護者、時に地域の方々とともに子どもたちの学びを振り返ることが大切な要素になっています。

ドイツ:「Haus der kleinen Forscher(小さな科学者の家)」(組織名称)
ドイツでは、幼児から小学生までの子どもたちに自然科学、技術、工学、数学(STEM)分野の探究活動を提供する「Haus der kleinen Forscher」を、国が正式に支援しています。様々なテーマでの実験や観察を通じて科学的な思考の育みをサポートしています。

これらの事例から分かるように、各国の幼児向け探究活動はその国の文化や教育方針に基づいて多様な形で実践されています。どのアプローチも、子どもたちの自主性や創造力を育むことを重視しており、実践的な学びの機会を提供しています。

「異文化」をテーマにした探究活動の事例

では具体的なテーマ設定をした場合、どのようなシーンで探究活動を行うことができるでしょうか?今回は「異文化」をテーマに、活動例を考えてみましょう。

1. 音楽やダンスを体験する
海外の音楽やダンスを取り入れることで、楽しみながら異文化を体験できます。例えば、イタリアの楽器やインドのダンスを一緒に楽しむことで、異文化への理解が深まります。

2. 食べ物を試してみる
異文化の料理を一緒に作ったり、試食したりすることで、その文化に親しみを感じることができます。例えば、メキシコのタコスやイタリアのピザを作る活動を通じて、日本とは異なる食文化を学ぶことができます。

3. 祭りや行事を再現する物を試してみる
祭りや行事を再現することで、その文化の習慣や伝統を体験できます。例えば、中国の春節やブラジルのカーニバルをテーマにした活動なども面白そうですね。

4. アートやクラフトを作るを試してみる
創作活動を通じて芸術に触れることも探究活動のきっかけになります。例えば、日本の折り紙やアボリジニのドットペインティングを体験することで、異文化の芸術に親しむことができます。

いかがでしょうか?
異文化」という1つのテーマに対しても、様々なアプローチが考えられ、ワクワクしてきます。もし保育者だけで行うことが難しければ、地域で活動されている方に協力を仰いだり、外国語大学の学生さんなどとの交流を図ったりしてみるのも、また面白い活動に繋がります。

WithBook English onlineでの探究活動テーマのご紹介

WithBook English online では、日々のレッスンで「自分の好き」や「自分の気持ち」を表現することを大切にしているのはもちろん、園での活動で、保育者が探究活動を始める起点を作ったり、テーマのヒントを提供したりもしています。

例えば、月に1回の動画教材もその一つです。下記のように、フィリピンの日常を毎月のテーマに沿って撮影し、動画教材として提供しています。この動画は、その月のレッスンで身につけたことばの復習も兼ねてレッスンでも使われるほか、動画そのものをレッスン以外に子どもたちと一緒に楽しんでいただくことも可能です。動画を見ながら、「日本のスーパーでは見たことのない果物があるね」「何ていう果物だろう?」と調べてみたり、調べたことを講師の先生に伝えたりすることで、「日本と異なる文化」への興味を深めていくことが可能です。

このように、子どもたちの興味関心をさらに引き出すための問いを考えたり、どんな素材があるとより理解を深められるかな?と考えたりする時間は、きっと保育者の皆さんにとっても、興味深く、楽しめる機会になることでしょう。

「やってみたいけれど、忙しい日々の中でなかなか具体的な活動に踏み出せない・・・・。」
そんな時は、このようなヒントやサポートをきっかけに始めてみるのもよいかもしれません。子どもたちはもちろん、保育者にとってもワクワクや楽しさを感じられる時間にしたいものですね。

※「WithBook English online」は、とうきょうすくわくプログラム推進補助事業の要件を満たしています。

【参考】
※1
北欧の森のようちえん 自然が子どもを育む ーデンマーク・シュタイナー幼稚園の実践
著者リッケ・ローセングレン 翻訳: ヴィンスルー美智子、村上進 出版社: イザラ書房

 ※2
『子どもたちの100の言葉 レッジョ・エミリアの幼児教育実践記録』
レッジョ・チルドレン(著)ワタリウム美術館(編)日東書院本社
レッジョ・エミリア・アプローチ入門 ‐世界の最先端を行く幼児教育から学ぶ‐
Learning Through Observation and Documentation: Lessons from the world’s most child-focused program (The Reggio Emilia Approach)

※3
デイリーウォッチャー|研究開発戦略センター(CRDS)優れた早期STEM教育のために – BMBFが「小さな科学者 の家」に基盤助成

プロフィール:㈱アイ・エス・シー まなび事業部

「らしさとらしさ、あふれる社会へ」をビジョンに掲げ、保育・療育・教育事業を展開する㈱アイ・エス・シー。ママ社員で構成する「まなび事業部」で「自己探究」を軸に開発したオンライン英語「WithBook English online」は、園での外国人講師とのインタラクティブな英語あそびを通じて、”ことば ”がもつイメージ・意味を深めるプロセスを楽しみ、英語が好きになることで自然と英語で表現できることを目指しています。

▷WithBook English online  https://withbook-english.com/

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