
お泊まり保育は、主に年長児を対象に保育施設で一晩を過ごす行事で、子どもの自立心や協調性を育む特別な体験です。一方で、夜間の安全体制・保護者説明・プログラム設計・コスト管理まで、通常保育とは異なる準備が求められます。
本記事では、保育施設の経営者・保育者に向けに、お泊まり保育のねらい・事前準備・安全管理・プログラム例・保護者への説明方法までを詳しく解説します。
目次
お泊まり保育とは何か

お泊まり保育は、保育施設で行われる特別な行事の一つであり、子どもたちの成長を促す重要な機会となっています。まずは基本的な内容を理解しましょう。
お泊まり保育の定義と実施時期
お泊まり保育とは、子どもたちが保育園や幼稚園で一晩を過ごす宿泊行事のことです。家族と離れて友だちや保育者と夜を過ごすことで、自立心や協調性を育てることを目的としています。実施時期は、多くの園で夏休み前の7月や夏季保育期間中に設定されています。
暑い時期であれば、プールや水遊び、花火などの夏らしい活動を取り入れやすく、子どもたちも開放的な気分で楽しめるためです。
また、年度の前半に実施することで、クラスの仲間意識を高め、後半の園生活をより充実させる効果も期待できます。一部の園では秋に実施するところもありますが、最も一般的なのは7月の実施でしょう。
対象年齢と実施形態
お泊まり保育の対象は、主に年長児(5歳児クラス)となります。年長児は心身の発達が進み、基本的な生活習慣が身についており、保護者と離れて一晩過ごすことができる段階に達しているためです。実施形態としては、園内での宿泊が最も一般的でしょう。
慣れ親しんだ環境であることで、子どもたちの不安が軽減されます。一部の園では、系列施設や青少年教育施設、キャンプ場などを利用する場合もあります。
参加人数は、クラス全体で20〜30名程度が一般的です。職員体制は、担任だけでなく、園長や主任、フリー保育士なども加わり、手厚い人員配置を行います。
実施園の割合と近年の動向
全国の保育園・幼稚園のうち、お泊まり保育を実施している園の割合は、幼稚園で約6〜7割、保育園で約3〜4割程度と言われています。幼稚園の方が高い実施率の傾向にあるのは、行事としての位置づけが強く、保護者の理解も得やすいためでしょう。
近年の動向としては、新型コロナウイルス感染症の影響で、一時期は中止や縮小を余儀なくされた園が多くありました。
2023年以降は徐々に再開する園が増えていますが、感染対策を強化したり、日帰りの「夕涼み会」や「デイキャンプ」に切り替えたりする園も見られます。
また、保育士の負担軽減や働き方改革の観点から、実施を見送る園も増加傾向にあり、各園の方針や地域性、保護者のニーズに応じて、柔軟に判断されているのが現状でしょう。
お泊まり保育の5つのねらい

お泊まり保育には、子どもの成長を促す明確なねらいがあります。これらを理解することで、より意義深い活動となります。
①自立心の育成:親元を離れた経験
お泊まり保育の最も重要なねらいは、自立心の育成です。家族と離れて一晩を過ごすことは、多くの子どもにとって初めての経験となります。自分の荷物を管理し、着替えや歯磨きなどを自分で行い、決まった時間に就寝する。
こうした日常的な行動を、親の助けなしに実践することで、「自分でできる」という自信が育まれます。また、ホームシックを感じても、友だちや保育者と一緒に乗り越える経験は、精神的な自立を促す貴重な機会となるでしょう。
②協調性・社会性の向上
お泊まり保育では、グループでの活動が中心となります。夕食作りでは役割分担をし、協力して一つの料理を完成させます。
布団の準備や片付けも、友だちと助け合いながら行うでしょう。こうした共同作業を通じて、自分の役割を果たすことの大切さ、仲間と協力することの喜びを学びます。
また、集団生活のルールを守ることや、他者への配慮も自然に身につきます。夜の時間を静かに過ごす、友だちが眠るまで待つといった行動は、社会性の発達につながる重要な経験でしょう。
③自信と達成感の獲得
「お泊まり保育ができた」という事実は、子どもたちにとって大きな自信となります。不安を乗り越えて一晩を過ごし、翌朝元気に保護者と再会できたとき、子どもたちは達成感に満ちた表情を見せます。
この成功体験は、「自分は頑張れる」「困難を乗り越えられる」という自己肯定感を高め、今後の人生における様々な挑戦への意欲につながるでしょう。保育者から「よく頑張ったね」「立派だったよ」と認められることで、さらに自信が深まります。
④友だちとの絆の深まり
普段の保育時間とは異なる、特別な夜の時間を共有することで、友だち同士の絆が深まります。一緒に夕食を作り、花火を見て、同じ部屋で眠る。
こうした共通の思い出は、クラスの一体感を高め、その後の園生活をより豊かにします。また、普段は目立たない子どもの意外な一面を発見したり、新たな友情が芽生えたりすることもあるでしょう。
⑤小学校就学への準備
年長児の後半に実施されるお泊まり保育は、小学校就学への準備という側面も持っています。時間を守る、自分の持ち物を管理する、集団行動をとるといった力は、小学校生活で求められる基本的なスキルです。
また、家族と離れて過ごす経験は、学童保育や宿泊学習への心理的準備にもなるでしょう。
お泊まり保育のリスクと対策/経営者が押さえておきたいコスト・保護者対応
お泊まり保育は子どもの成長を促す貴重な行事である一方、通常保育にはないリスクやコストが生じます。施設の経営者・管理職として、事前にリスクを把握し、万全の体制で臨むことが求められます。
追加コスト(食材・備品・保険・人件費等)
お泊まり保育では、夕食・朝食の食材費、花火などのプログラム消耗品、寝具類の備品費、行事保険の加入費用、夜間対応に伴う割増賃金や振替休日の人件費など、通常保育にはないコストが発生します。
参加費として保護者から徴収する場合は、費用負担が参加の障壁とならないよう金額設定に配慮が必要です。なお、行事保険への加入は万が一の事故に備える重要な項目であり、コスト削減の対象とすべきではありません。
トラブルや夜間事故への対応
お泊まり保育中に起こりやすいトラブルとして、発熱・腹痛などの体調不良、ホームシックによる号泣、おねしょ、就寝後のトイレ中の転倒などが挙げられます。
夜間の体調急変に備え、保護者の緊急連絡先と夜間対応可能な近隣医療機関の情報を手元に準備しておくことが不可欠です。
廊下やトイレの照明確保、滑り止めマットの設置など物理的な環境整備も合わせて行い、ヒヤリハット事例は翌年の改善材料として蓄積しておくとよいでしょう。
実施・中止の判断基準
お泊まり保育を実施するかどうかは、毎年あらためて判断することが経営者には求められます。職員数が夜間対応に十分か、保護者の意向はどうか、感染症の流行状況はどうかといった観点から総合的に見極め、判断基準をあらかじめ職員間で共有しておくことが大切です。
慣例だけで継続するのではなく、子どもの安全と職員の負担の両面から毎年見直す姿勢が、園への信頼を守ることにつながります。
お泊まり保育の事前準備
お泊まり保育を成功させるためには、入念な事前準備が欠かせません。具体的な準備項目を確認しましょう。
年間計画への組み込みと職員体制
お泊まり保育は、年度初めの年間行事計画に組み込んでおくことが重要です。実施日を早めに決定することで、保護者への周知や職員のシフト調整がスムーズになります。
実施時期は、子どもたちがクラスに慣れ、基本的な生活習慣が身についている7月頃が適切でしょう。職員体制については、担任だけでは不十分であり、最低でも年長児5〜6人に対して職員1人の配置が望ましいとされています。
園長、主任、フリー保育士、看護師、栄養士なども参加し、万全の体制を整えます。また、夜間の見守りのため、交代制で仮眠をとる職員と起きている職員を配置する計画も必要です。
職員の負担が大きいため、前後の勤務調整や振替休日の設定など、労務管理にも配慮しましょう。
保護者説明会の開催と同意取得
お泊まり保育の実施にあたっては、保護者の理解と協力が不可欠です。実施の1〜2か月前には保護者説明会を開催し、ねらいや当日のスケジュール、持ち物、安全対策などを丁寧に説明しましょう。
保護者の中には、「まだ早いのではないか」「夜泣きをしないか心配」といった不安を抱く方もいます。こうした不安に寄り添い、過去の実施例や安全対策を具体的に伝えることで、安心してもらえます。
また、参加は強制ではなく、家庭の事情や子どもの状態に応じて不参加も選択できることを伝えることが大切です。参加の同意書を取得し、緊急連絡先や健康状態、アレルギーの有無なども確認します。
持ち物準備と子どもへの事前指導
持ち物リストを作成し、保護者に配布します。着替え、パジャマ、歯ブラシ、タオル、ビニール袋などが一般的です。持ち物には名前を書いてもらい、子ども自身が管理しやすいようにリュックやバッグにまとめてもらいます。
子どもたちへの事前指導も重要でしょう。お泊まり保育がどのような行事か、何をするのか、どんな楽しいことが待っているかを、絵本や写真を使って説明します。
また、自分で着替える練習、荷物を整理する練習なども保育の中で取り入れ、当日に向けて準備を進めます。期待感を高めることで、不安よりもワクワクする気持ちが大きくなるように働きかけましょう。
持ち物リスト例
お泊まり保育に必要な持ち物は、以下を参考にしてみてください。
【着替え・衣類】
- パジャマ
- 翌日の着替え一式(上下・下着・靴下)
- 予備の下着・着替え(おねしょ・汚れ対応用)
【洗面・衛生用品・就寝用品】
- 歯ブラシ・歯磨き粉
- タオル(フェイス・ボディ各1枚)
- シャンプー・ボディソープ(園指定の場合は不要)
- ヘアブラシ・ゴム(女の子)
- バスタオル
【食事・その他】
- 水筒
- ハンカチ・ティッシュ
- 帽子
- ビニール袋(汚れ物入れ用)2〜3枚
- 着替えや用途別にまとめる袋(ジップロックなど)
【健康・緊急対応】
- 常備薬(必要な場合は園に事前申告)
- 健康保険証のコピー(園の指定による)
【注意事項】
- 持ち物すべてに記名する
- おもちゃ・ゲーム機などの貴重品は所持しない
- アレルギーのある子どもは事前に把握しておく
保育者は、上記に加えて以下のものを準備しておくと安心です。
【業務・記録用品】
- 出席簿・緊急連絡先一覧
- タイムスケジュール・役割分担表
- ヒヤリハット・事故報告記録用紙
- 筆記用具(ボールペン・メモ帳など)
【健康・救急用品】
- 救急箱
- 常備薬リスト(子どもの服薬情報含む)
- アレルギー対応表
- ビニール手袋・マスク
- 熱中症対策グッズ・虫除けグッズ(暑い時期)
【夜間対応用品】
- 懐中電灯(夜間巡回用)
- 携帯電話・充電器
- 非常持ち出し袋の場所確認メモ
- 近隣夜間対応医療機関の連絡先
【その他】
- 園の印鑑(緊急時書類対応用)
- 現金少額(緊急購入用)
- 雨具(屋外プログラムの予備対応)
緊急連絡体制と保険加入
夜間に体調不良やケガなどの緊急事態が発生した場合に備え、連絡体制を整えておきます。保護者の緊急連絡先を複数確保し、すぐに連絡できる体制を作ります。
また、近隣の医療機関(夜間・休日診療可能な病院)の情報も事前に調べ、すぐに対応できるようにしておきましょう。
保険については、園の賠償責任保険でカバーされるか確認し、必要に応じて行事保険に加入します。万が一の事態に備えることで、職員も安心して行事に臨めるはずです。
お泊まり保育のプログラム例

楽しく充実したプログラムを組むことで、子どもたちの思い出深い体験となります。一般的なプログラム例を紹介します。
タイムスケジュール例
お泊まり保育のタイムスケジュール例をご紹介します。
【1日目】
| 時間 | 内容 |
| 15:00 | 登園・健康チェック・荷物確認 |
| 15:30 | 開会式・自由遊び |
| 16:30 | 夕食作り |
| 17:30 | 夕食・歯磨き |
| 19:00 | キャンプファイヤー・花火大会 |
| 20:00 | お風呂・就寝準備(着替え・布団敷き) |
| 20:30 | 絵本読み聞かせ・静かな音楽 |
| 21:00 | 消灯・就寝 |
| 21:00〜 | 夜間巡回(交代制) |
【2日目】
| 時間 | 内容 |
| 6:00 | 起床・洗顔・着替え・布団片付け |
| 7:00 | 朝食・歯磨き |
| 8:30 | 昨日の振り返り・発表 |
| 9:00 | 閉会式・保護者お迎え・解散 |
夕方〜夜:夕食作り・キャンプファイヤー・花火
午後3〜4時頃から活動を開始します。まず、みんなで夕食作りに挑戦しましょう。カレーライスやおにぎり、サラダなど、子どもでも作れるメニューが人気です。野菜を洗う、ちぎる、盛り付けるなど、年齢に応じた役割を分担します。
自分たちで作った夕食を友だちと食べる経験は、食育にもつながる貴重な時間です。夕食後は、園庭や近くの広場でキャンプファイヤーを行う園もあります。
火を囲んで歌を歌ったり、ダンスをしたりして盛り上がりましょう。暗くなったら、花火大会も子どもたちが楽しみにしているプログラムです。手持ち花火を一人ひとり楽しんだり、打ち上げ花火を見たりすることで、特別な夜の雰囲気を味わいます。
夜:就寝準備・絵本読み聞かせ・就寝
午後8時頃になったら、就寝の準備を始めます。自分でパジャマに着替え、歯磨きをし、布団を敷く。日常的な行動ですが、家族の助けなしに行うことに意味があります。準備が整ったら、保育室や遊戯室に布団を並べて横になります。
興奮している子どもたちを落ち着かせるため、保育者が絵本を読み聞かせたり、静かな音楽を流したりします。「おやすみなさい」の挨拶をして、消灯するのは9時頃です。
初めての経験に不安を感じて泣いてしまう子どももいますが、保育者が寄り添い、優しく声をかけることで安心します。職員は交代で巡回し、子どもたちの様子を見守ります。
朝:起床・朝食・振り返り・解散
翌朝は6〜6時半頃に起床します。自分で着替え、布団を片付け、洗顔をします。朝食は、パンやおにぎり、果物、牛乳など、簡単なメニューが一般的です。朝食後、みんなで昨日の出来事を振り返る時間を持ちます。
「楽しかったこと」「頑張ったこと」を発表し合い、達成感を共有しましょう。お泊まり保育の修了証やメダルを一人ひとりに渡す園もあります。
午前9〜10時頃に保護者がお迎えに来て、解散となります。保護者には、子どもたちの頑張りを伝え、成長を共に喜ぶ時間を持つことが大切です。
安全管理と衛生管理のポイント
お泊まり保育では、通常保育以上に安全管理と衛生管理に注意を払う必要があります。
健康チェックと体調不良時の対応
当日の朝、家庭で子どもの健康チェックを行ってもらい、体調に問題がないか確認します。
発熱や下痢、嘔吐などの症状がある場合は、無理せず参加を見送ってもらうことが大切です。また、お泊まり保育中も定期的に子どもの様子を観察し、顔色や活動の様子に変化がないか注意します。
夜間に体調不良を訴えた場合は、すぐに対応できるよう、看護師や経験豊富な保育者が常に待機している体制を整えましょう。必要に応じて保護者に連絡し、お迎えをお願いすることもあります。子どもの安全と健康を最優先に考えた判断が求められます。
夜間の見守り体制と巡回
夜間は、職員が交代で子どもたちを見守ります。常に2〜3名の職員が起きており、定期的に巡回して子どもたちの様子を確認します。
布団がはだけていないか、呼吸に異常がないか、トイレに起きた子どもがいないかなどをチェックしましょう。また、火災や地震などの緊急事態に備え、避難経路の確認や非常持ち出し袋の準備も必要です。
夜間でもすぐに避難できるよう、懐中電灯や救急セットを手の届く場所に配置します。職員間の連絡手段も確保し、何かあればすぐに協力できる体制を整えておくことが重要です。
入浴時の安全管理
お泊まり保育の入浴は事故リスクが高い場面のため、浴室で走らない・浴槽で潜らないなどのルールを事前に子どもたちと確認しましょう。一度に入浴する人数は5〜10名程度に絞り、見守り・洗体補助・着替え援助など職員の役割分担を明確にし、常に子どもから目を離さないようにすることが重要です。
滑り止めマットの設置など環境整備も徹底し、体調不良に備えて看護師や経験豊富な保育士が常時対応できる体制を整えておきましょう。
宿泊施設を利用する場合は一般利用者との動線が交わることもあるため、貸し切り時間の確保や利用ルールを事前に確認しておきましょう。
食物アレルギー・感染症対策
食事の際は、食物アレルギーのある子どもへの配慮が欠かせません。事前に保護者から情報を収集し、除去食や代替食を準備します。調理の際は専用の調理器具を使い、混入を防ぎます。
配膳時も、名前を明記した専用の食器を使い、誤配がないよう細心の注意を払いましょう。感染症対策については、手洗い・消毒の徹底、食器や調理器具の衛生管理、共有物の定期的な消毒などを行います。
特に、新型コロナウイルス感染症対策として、換気の徹底や、必要に応じたマスク着用なども検討します。
保護者対応とコミュニケーション

保護者の理解と協力を得るためには、丁寧なコミュニケーションが重要です。
保護者の不安への寄り添い方
お泊まり保育に対して、保護者はさまざまな不安を抱えています。「うちの子は夜泣きをするのでは」「おねしょをしないか心配」「友だちとうまくやれるか」といった声に、一つひとつ丁寧に答えることが大切です。
過去の実施例を紹介し、「最初は泣いていても、友だちと一緒にいるうちに落ち着きますよ」「おねしょをしても大丈夫なように、着替えを用意していただきます」と具体的に説明しましょう。
また、「参加しなければならない」というプレッシャーを与えず、家庭の事情や子どもの状態に応じて柔軟に対応する姿勢を示すことも重要です。保護者の気持ちに寄り添うことで、信頼関係が深まります。
当日の様子を伝える方法
お泊まり保育の最中、保護者は子どもの様子が気になっているでしょう。当日の夕方や就寝後に、園のブログやSNS、保護者アプリなどで、活動の様子を写真付きで報告すると安心してもらえます。
ただし、個人情報に配慮し、顔が明確に写った写真の掲載には保護者の事前同意が必要です。また、「無事に全員就寝しました」といった一言を添えるだけでも、保護者の不安は軽減されます。
事後報告と写真・ドキュメンテーション
お泊まり保育が終わった後は、保護者に詳しい報告を行います。クラスだよりや個別の連絡帳で、子どもたちの頑張りや成長した姿を伝えましょう。また、当日の写真を掲示したり、アルバムにして販売したりする園もあります。
写真やドキュメンテーション(活動の記録)を通じて、保護者が子どもの体験を追体験できるようにすることが大切です。保護者からの感想やフィードバックも収集し、次回の改善に活かすとよいでしょう。
お泊まり保育を実施しない選択肢
すべての園がお泊まり保育を実施する必要はありません。実施しない選択も尊重されるべきです。
どのような理由で見送られるのか
お泊まり保育を実施しない理由はさまざまです。保育士の人員不足により、夜間対応できる体制が組めない園もあります。また、保育士の負担が大きく、働き方改革の観点から見送る判断をする園も増えています。
施設の構造上、宿泊に適していない場合もあるでしょう。さらに、保護者からの反対意見が多い、地域の理解が得られないといった理由で実施を断念する園もあります。新型コロナウイルス感染症の影響で中止し、そのまま再開していない園も少なくありません。
夕涼み会・デイキャンプなどの代替案
お泊まり保育を実施しない代わりに、夕方から夜にかけての「夕涼み会」や、日帰りの「デイキャンプ」を行う園が増えています。夕涼み会では、夕方から夜まで園で過ごし、夕食を食べたり花火を楽しんだりした後、保護者がお迎えに来ます。
宿泊はしませんが、特別な夜の雰囲気を味わえる点では、お泊まり保育に近い経験ができるでしょう。デイキャンプは、日中に野外活動を行い、夕方には解散する形式です。
カレー作りやキャンプファイヤー、レクリエーションなど、お泊まり保育の要素を日帰りで体験できます。これらの代替案は、職員の負担も軽く、保護者の不安も少ないため、実施しやすい選択肢となっています。
園の実情に合わせた判断基準
お泊まり保育を実施するかどうかは、園の教育方針、職員体制、施設環境、保護者のニーズ、地域性などを総合的に判断して決めるべきでしょう。「やらなければならない」という固定観念にとらわれず、自園にとって何が最善かを考えることが大切です。
実施する場合も、無理のない範囲で計画し、安全を最優先にすることが求められます。また、一度実施を決めても、状況に応じて柔軟に見直す姿勢も必要でしょう。子どもたちの成長を支えるという本来の目的を見失わず、各園が最適な選択をすることが大切です。
まとめ
お泊まり保育は、子どもの自立心・協調性・自信を育む貴重な体験行事です。実施には綿密な事前準備、安全管理体制の構築、保護者への丁寧な説明が欠かせません。
夕食作りやキャンプファイヤーなど楽しいプログラムを通じて、子どもたちに特別な思い出を提供しましょう。
一方、園の方針や地域性に応じて実施しない選択も尊重されるべきです。夕涼み会やデイキャンプといった代替案も、子どもたちに有意義な体験を提供できます。
子どもの最善の利益を考えた判断を心がけ、実施する場合は安全管理を徹底し、実施しない場合も別の形で子どもたちの成長を支える工夫をしましょう。
お泊まり保育は手段であり、目的は子どもたちの健やかな成長です。その本質を忘れずに、各園に合った形で取り組むことを心がけましょう。

