保育園の感染症対策!感染症が発生した場合の対応は?

保育園では1人の子どもが感染症を発症すると、またたく間に広がってしまうケースが少なくありません。

「どうすれば感染拡大を最小限に抑えられる?」
「感染対策はこれで合っているの?」

と、不安を感じている保育士も多いでしょう。

本記事では、保育園で感染症が広がりやすい理由や、具体的な感染症対策について解説します。感染症が発生した際のゾーニングや、情報共有についても触れているので、ぜひ参考にしてください。

感染症の主な感染経路

保育園で気をつけたい感染経路は、主に「飛沫感染」「接触感染」「空気感染」「経口感染」「血液感染」の5つです。

  • 飛沫感染
    くしゃみや咳と一緒に飛び散ったしぶきを吸い込んだり、粘膜についたりすることによる感染
  • 接触感染
    ウイルスがついたおもちゃやドアノブを触った手で、目や鼻をこすることによる感染
  • 空気感染
    飛沫咳などにより空気中に拡散されたウイルスや菌を吸い込むことによる感染
  • 経口感染
    ウイルスや細菌が付着した食べ物を十分に加熱しない状態で食べたり、ウイルスを含んだ便や嘔吐物が手などを介して口に入ることによる感染
  • 血液感染
    ウイルスや細菌を含む血液が、傷や粘膜などに付着することによる感染

保育園の感染症リスクが高い4つの理由

保育園の感染症リスクが高いとされている背景には、以下の4つの理由があります。

乳幼児は感染症にかかりやすい

小さな子どもたちは、病気と戦うための免疫力がまだ十分に備わっていません。

お母さんからもらった免疫も成長とともに減っていき、いろいろなウイルスや細菌に初めて出会う時期でもあります。

そのため、大人がかかっても軽い症状で済むような風邪でも、子どもはすぐに熱を出したり、重い症状になったりしやすいのです。

集団生活により子ども同士の接触が生じやすい

保育園は、たくさんの子どもたちが長い時間を一緒に過ごす場所です。一緒に遊んだり、並んでご飯を食べたりと、どうしてもお互いの距離が近くなります。

そのため、一人が風邪を引くと、おしゃべりや咳による「飛沫」が周りの子に届きやすく、あっという間に広がってしまいます。

また、おもちゃや絵本をみんなで共有して使うことも多いため、そこを介してウイルスが受け渡されやすい環境にあります。

「ハイハイ」「舐める」などの行動が多い

低年齢の子どもたちは、身の回りのものを確かめるために、何でも口に入れたり舐めたりすることがあります。

また、床を這って進む「ハイハイ」は、手に床の汚れや菌がつきやすく、その手で顔を触ったり、指をしゃぶったりすることで、体の中にウイルスが入り込んでしまいます。

子どもの年齢によってはマスクを着用できない

感染症の予防にはマスクが有効ですが、乳幼児の場合は窒息や熱中症の恐れがあるため、無理に着用させることはできません。

とくに、2歳未満の子どもは、呼吸が苦しくなっても自分で外したり、周囲に伝えたりすることが難しいため、日本小児医師会からも着用は推奨されていません。

マスクができないと、咳やくしゃみを防ぐことが難しくなるため、周りの子どもたちに感染が広がりやすくなります。

保育園で発生しやすい感染症と特徴

保育園ではさまざまな感染者が発生します。代表的なものとしては、以下のような感染症があります。

  • インフルエンザ
    38度以上の高熱や、咳、鼻水、関節の痛みなどが現れます。感染力が非常に強く、冬から春にかけて大流行します。
  • RSウイルス感染症
    鼻水や咳から始まり、ひどくなるとゼーゼーした呼吸になります。1歳未満はとくに重症化しやすいため、注意が必要です。
  • 新型コロナウイルス感染症
    発熱や鼻水、咳などの症状が現れます。軽症で済む場合が多いですが、基礎疾患のある子どもは重症化する可能性があります。
  • 溶連菌感染症
    喉の激しい痛みと高熱が出て、体に小さく赤い発疹が広がることもあります。舌がイチゴのように赤くなるのが特徴です。

保育園の感染症対策ガイドライン

保育園の感染症対策を見直す際は、こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」も参考にしましょう。

本ガイドラインは、保育所における感染症対策の基本的な考え方を整理した公式資料であり、日常的な予防から感染症が疑われる場合の対応まで、保育現場を想定した内容がまとめられています。

具体的には、下記のような点について、体系的に整理されています。

  • 感染症に関する基礎知識
  • 感染症の予防策
  • 感染症疑いのある子どもへの対応
  • 感染症対策の実施体制

また、医療機関や保健所などの関係機関との連携、保護者への情報提供や協力依頼の重要性についても触れられており、園内だけで完結しない対応の必要性が示されています。

感染経路別の対策や具体的な予防行動を検討する際にも、本ガイドラインを基準として参照することで、園全体で共通の考え方を持ちやすくなり、感染症対応を進めるうえでの判断の目安として活用できます。

参考:保育所における感染症対策ガイドライン|こども家庭庁

保育園での基本的な感染症対策

保育園で感染症が蔓延するのを防ぐためには、以下のような基本的な対策が欠かせません。

手洗い・うがいを徹底する

外遊びのあとやトイレのあと、給食の前などは、石けんを使ってしっかりと手を洗うことが大切です。指の間や爪の先、手首まで丁寧に洗うことで、手に付いたウイルスを洗い流せます。

手洗いが難しい乳幼児には、保育士が濡らしたガーゼや除菌シートで手を拭いてあげるなどして、清潔な状態を保つ工夫をします。

また、うがいができる年齢の子どもには、手洗い・うがいをセットで促しましょう。うがいには喉の乾燥を防ぎ、バイ菌を追い出す効果があります。

定期的な換気・消毒を行う

お部屋の空気を入れ換えるため、こまめな換気を心がけましょう。

室内に空気がこもると、ウイルスが漂いやすくなり、感染リスクが高まります。対角線上の窓を開けるなど、風の通り道を作ることがポイントです。

また、子どもたちがよく触るおもちゃ、ドアノブ、手すりなどは、毎日決まった時間に消毒しましょう。感染症が流行している時期は消毒の回数を増やすなどして、環境を清潔に保つように心がけます。

食事時の衛生管理を徹底する

給食やおやつの時間は、感染が広がりやすいタイミングです。

配膳の前にはテーブルをアルコールなどで拭き、配膳する職員も念入りに手を洗いましょう。子どもたちがスプーンやコップを貸し借りしたり、回し飲みをしたりしないよう、しっかりと見守ることも重要です。

おむつ交換手順の明確化する

おむつ交換の手順を明確化することは、排泄物からの感染を防ぐために非常に重要です。

おむつを交換する場所を固定し、一回ごとに使い捨てのシートを敷くなどのルールを決めましょう。汚れたおむつはすぐに袋に入れて密閉し、処理後は保育士の手洗いを徹底します。

誰が対応しても同じように処理できるよう、マニュアルを作成しておくとよいでしょう。

子どもや保護者への衛生教育を行う

子どもたちや保護者の衛生意識を高めることも大切です。

子どもたちには、絵本や歌などを使って「なぜ手を洗うのか」を楽しく伝えるとよいでしょう。保護者に対しては、園だよりなどを通じて、園で流行っている病気や、お家で気をつけてほしいポイントを共有します。

園と家庭が協力して対策に取り組むことで、感染症の拡大を防ぎやすくなります。

子どもの健康状態を観察する

登園時には、顔色や機嫌、食欲など、子どもの健康状態を細かくチェックしましょう。

いつもより元気がない、目が赤い、体が熱いといった小さな変化を見逃さないことが大切です。少しでも「おかしいな」と感じたら、早めに検温を行ったり、保護者に連絡を取ったりして対応します。

感染症の初期症状に早く気づくことができれば、症状の悪化や、集団感染を未然に防ぐことにつながります。

職員の体調管理にも気を配る

感染症から子どもたちを守るためには、職員自身の体調管理が欠かせません。毎朝の検温を習慣化し、体調が悪いときは無理をせず休める環境を整えましょう。

保育士は多忙な日々を送っている場合が多いですが、十分な睡眠と栄養をとることも立派な感染対策です。職員が感染症にかからないよう、施設全体で体調管理をサポートすることが大切です。

予防接種を推奨する

感染症そのものを防いだり、かかっても重症化させないためには、予防接種が有効です。

園から保護者の方へ、定期的な予防接種のスケジュールを案内したり、接種状況を確認したりと、摂取を推奨していきましょう。多くの子どもたちが免疫を持っている状態になれば、集団感染を防ぎやすくなります。

子どもを病気から守るための手段のひとつとして、保護者に理解を深めてもらうことが重要です。

保育園で感染症が発生した場合に必要な対応

ここからは、保育園で感染症が発生した場合の対処法を解説します。

必要な対応はケースバイケースで異なりますが、基本的な対応を把握し、迅速に動けるよう準備しておきましょう。

ゾーニングを行う

ゾーニングとは、感染症の病原体に汚染されていない場所(汚染区域)と、汚染されていない場所(清潔区域)をはっきりと分けることです。

感染した疑いがある子が過ごすスペースを隔離したり、専用のトイレを決めたりすることで、感染の拡大を防ぎます。

また、担当する職員も固定化し、ほかの場所へウイルスを運ばないよう工夫しましょう。目に見えないウイルスが園内のあちこちに広がらないよう、境界線を引くことが大切です。

職員や保護者などに情報を共有する

園児が感染症を発症した場合は、職員で情報共有をしましょう。「どのクラスで、どんな症状の子が出たか」を共有し、園全体で感染症への意識をより一層高めます。

保護者に対しては、子どものプライバシーに配慮しつつ、流行している病気の種類や注意点を連絡網やアプリで伝えるとよいでしょう。

保護者に注意喚起をすることで、子どもの体調の変化に気づいてもらいやすくなり、さらなる感染拡大を防ぐことにつながります。

行政機関に報告する

特定の感染症が発生した際や、一定数以上の感染者が出た場合などは、園から行政機関に報告する必要があります。

行政機関に知らせることで、専門家から「これ以上の拡大を防ぐにはどうすればいいか」といった具体的なアドバイスをもらうことも可能です。

臨時休園や部分休園を検討する

感染の広がりがとまらない場合や、多くの職員が出勤できない状態に陥った場合には、臨時休園や部分休園も検討しましょう。

自治体によっては、臨時休園に関する独自の基準が定められている場合があります。ただし、休園は保護者の生活への影響も大きいため、丁寧な説明を行うことが大切です。

「ウェルキッズ」なら感染症発生時の情報共有もスムーズ

ウェルキッズ(WEL-KIDS)は、多彩な機能が搭載された保育ICTシステムです。園児管理から職員管理、事務管理まで、保育業務を幅広くサポートする機能が搭載されています。

ウェルキッズには、保護者向けの一斉メール配信機能が搭載されています。これにより、園内で感染症が発生したときにも、保護者に対してスムーズに情報を共有できます。家庭での手洗い・うがいの徹底など、感染症を防ぐためのポイントをお知らせすることも可能です。

また、日中に記録した健康や食事、午睡の記録を自動連携可能な連絡帳機能も搭載されているため、日々のコミュニケーションの円滑化にもお役立ていただけます。

まとめ

たくさんの子どもたちが集団生活をする保育園は、感染症が発生しやすい場所です。子どもたちの健康を守るためには、手洗い・うがいや換気など、基本的な対策を丁寧に行うことが大切となります。

また、園内で感染症が発生した際は、速やかに情報共有を行いましょう。職員や保護者の意識を高めることが、感染症蔓延の防止につながります。

ぜひ今回紹介したポイントを参考に、園内の感染症対策を見直してみてください。

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