【2026年度】保育ICT推進加算とは?新設の要件・加算額・補助金との違い・準備すべきことを解説

⚠️ 本記事の内容は令和8年4月1日時点でこども家庭庁から公表されている情報をもとにしています。令和8年度予算成立後に詳細が変更される可能性があります。最新情報は必ずこども家庭庁公式サイトおよび管轄自治体の案内をご確認ください。

「保育ICT推進加算が令和8年度から始まると聞いたけれど、要件がよくわからない」
「今使っているシステムで加算を受けられるのか不安」

——そんな悩みを抱えている園長・施設長の方は多いのではないでしょうか。令和8年度の加算取得に向けて、今のうちから早めに準備を進めておきましょう。

この記事では、加算の目的・対象施設・加算額・4つの算定要件を実務レベルでわかりやすく解説します。

さらに「補助金をすでに使った施設はどうすればいいか」「減算リスクとの関係」まで踏み込み、令和8年度に向けた準備の全体像がつかめる内容にまとめました。

\加算のことを詳しく知りたい方へ/

▼この記事でわかること

  • 保育ICT推進加算の制度概要と、これまでのICT補助金との違い
  • 施設型・地域型それぞれの加算額と、年間収支への影響
  • 令和8年度4月時点で想定されている算定要件
  • 「経営情報等の報告漏れ」による減算リスク
  • 園がやるべき具体的な準備ステップ

目次

保育ICT推進加算とは?制度の基本をわかりやすく解説

保育ICT推進加算は、こども家庭庁が令和8年度(2026年度)から公定価格に新設予定の加算制度です。

これまでのICT関連支援の補助金が「導入費」を支援するもの(導入時に一度だけもらえる補助金)だったのに対し、本加算はICTの「継続的な活用」を評価し、運営費として毎年加算を支給する仕組みです。

参考:令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項|こども家庭庁

従来の「ICT補助金」との決定的な違い

 ICT補助金(従来)保育ICT推進加算(新設)
支援の対象ICTシステムの「導入費用」ICTの「継続的な活用」
受給タイミング導入時に一度限り要件を満たす限り毎年受給
最大支給額最大130万円(端末購入含む)施設型:年30万円
地域型:年18万円
支給方法補助金(申請→交付)加算(公定価格に上乗せ)
主な窓口都道府県・市区町村公定価格の算定(自治体経由)

一度きりの補助金とは異なり、加算は要件を満たし続ける限り毎年受給できる点が最大の特徴です。短期的には補助金の金額が大きく見えますが、加算は長期的な安定収入として施設経営に組み込むことができます。

なぜ令和8年度から始まるのか?政策の背景

国の保育DX政策は、

  • 第1フェーズ:導入(〜令和7年度)
    補助金でICTシステムを全施設に普及させる。
  • 第2フェーズ:活用定着(令和8年度〜)
    加算制度で使い続けることを評価し、業務改善と保育の質向上を恒常的に支援する

という2段階構造で設計されています。

令和7年度までにICT導入を広げ、令和8年度以降は「使い続け、業務改善につなげているか」を評価する――その評価制度が保育ICT推進加算であるともいえます。

また、令和7年度から新設された「1歳児配置改善加算」でも、ICTシステムの活用(登降園管理+1機能以上)が算定要件の一つとされています。ICT基盤を整備することは、複数の加算を同時に狙える経営戦略にもなり得ます。

なお、1歳児配置改善加算については下記で詳しくご紹介しています。

参考:1歳児配置改善加算とは?要件・申請方法・メリットを保育施設経営者向けに解説

対象となる施設の種類

施設型(年30万円)

  • 認可保育所
  • 認定こども園(幼保連携型・保育所型・幼稚園型・地方裁量型)
  • 幼稚園

地域型(年18万円)

  • 小規模保育事業所(A型・B型・C型)
  • 家庭的保育事業所
  • 事業所内保育事業所
  • 居宅訪問型保育事業所

ポイント:ICT補助金では対象外だった「居宅訪問型保育事業」も、保育ICT推進加算では対象に含まれています。

保育ICT推進加算の加算額は年30万円 or 18万円!施設型・地域型どちらに該当するか確認しよう

■施設区分:施設型

  • 対象施設:認可保育所・認定こども園・幼稚園
  • 年間加算額:30万円

■施設区分:地域型

  • 対象施設:小規模保育・家庭的保育・事業所内保育・居宅訪問型
  • 年間加算額:18万円

年間30万円(地域型は18万円)という加算額は、一般的なクラウド型の保育ICTシステムの利用料水準と比較すると、利用料の負担軽減に寄与すると考えられる水準とされています。

また、令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項では「3月初日の利用子どもの単価に加算」と示されています。支払いタイミングは自治体の運用も含め確認が必要です。

年間収支への影響シミュレーション

【年間効果の計算式(シミュレーション)】

実質的な年間効果 = 加算額(30万円 or 18万円)- ICTシステム年間利用料(月額×12)

■施設型(例:認可保育所)

年間システム利用料=月額2万5,000円×12ヶ月=30万円

→ 加算額30万円 – 年間システム利用料30万円 = 差額±0円(全額カバー)

■地域型(例:小規模保育)

年間システム利用料=月額1万5,000円×12ヶ月=18万円

→ 加算額18万円 – 年間システム利用料18万円 = 差額±0円(全額カバー)

\ICT導入・活用をご検討の方へ/

保育ICT推進加算の算定要件【要件別チェックリスト付き】

⚠️ 注記:以下の要件は令和8年4月1日時点の公表情報をもとにしています。予算成立後に詳細が変更される可能性があります。また、運用の細部は自治体によって異なりますので、管轄の市区町村の保育担当窓口にもご確認ください。

要件① ICT活用責任者の配置

専任・専門資格は不要です。保育士・副主任・事務担当者・副園長など、現在の職務と兼任してかまいません。「わからないことはシステム会社に聞く窓口になれる人」を1名決めるだけで要件を満たします。

また、ICTの導入・活用については、責任者ひとりではなく複数人でチームを組んで取り組むことを前提としています。

(※1)当該責任者は、ICTの導入・活用について施設内で中心となって取り組み、他の職員の相談に対応すること。なお、ICTの導入・活用は、組織全体での体制整備やコミュニケーションの充実等により実現されるものであることから、当該責任者一人だけではなく複数人でチームを組んで取り組むことを前提とすること。

出典:令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項|こども家庭庁

要件② 4つのICT機能の活用

機能具体例注意点
① 登降園管理ICカード・QRコード・顔認証などによる記録紙の出席簿のみはNG
② 保護者との連絡アプリ・メッセージ機能による一斉・個別連絡個別メールや一般アプリは条件による
③ 保育の計画・記録月案・週案・保育日誌・児童票のデジタル作成職員間で共有・更新できる機能が必要
④ キャッシュレス決済延長保育料・実費徴収のキャッシュレス化今後の国や自治体の通知を要確認

なお、4つの機能のシステムを活用していれば、それぞれ異なる機種やメーカーであってもかまいません。

要件③ 国(こども家庭庁)のプラットフォーム・基盤の活用

⚠️ 自治体差に注意:この要件の運用は自治体によって対応状況が異なります。必ず管轄市区町村の保育担当窓口にご確認ください。

令和8年度から本格稼働する、こども家庭庁が整備する2つの公的システムへの対応が条件です。

  • 保育業務施設管理プラットフォーム(給付・監査等の行政手続きのデジタル化)
  • 保活情報連携基盤(保護者の入所・入園申請情報のワンストップ化)

令和8年度(初年度)は「アカウントが発行されている状態」でも算定可能とされる見込みです。

ただし、これらのシステムを施設が利用するには、まず管轄の市区町村がシステムの利用申請を国に行っている必要があります。具体的な活用要件の詳細は令和8年中早期にこども家庭庁から示される予定です。

保育業務施設管理プラットフォームとは

保育業務施設管理プラットフォームとは、こども家庭庁が令和8年4月から本格稼働させる行政手続きのデジタル化システムです。

給付費の請求・精算管理や、監査に必要な書類のやり取りをシステム上で行うことができます。

施設側の対応としては、まずアカウントの発行を受けることが令和8年度中の要件となっており、具体的な活用内容は令和8年中早期にこども家庭庁から示される予定です。

参考:「保育業務施設管理プラットフォーム」に関する情報|こども家庭庁
参考:第4回自治体説明会資料|こども家庭庁

 保活情報連携基盤とは

保活情報連携基盤とは、保活に関する情報と手続きをデジタルでつなぐ、こども家庭庁が令和8年4月から本格稼働させるシステムです。

保護者向けの「保活ワンポータル」では施設情報の検索・オンライン見学予約・就労証明書の申請ができ、施設側のマイページでは施設情報や空き枠情報の登録・見学予約の承認をオンラインで行うことができます。

施設側の対応としては、まずアカウントの発行を受けることが令和8年度中の要件となっており、具体的な活用内容は令和8年中早期にこども家庭庁から示される予定です。

参考:「保活情報連携基盤」に関する情報|こども家庭庁
参考:第4回自治体説明会資料|こども家庭庁

要件④ ここdeサーチの情報最新化

独立行政法人福祉医療機構(WAM)が運営する保育所情報の公的データベース「ここdeサーチ」に、施設の運営状況(定員・開所時間・職員体制等)が最新の状態で登録されていることが条件です。

ここdeサーチの最新化が未対応の場合、ICT推進加算が算定不可とされています。

(※)例年、5月に最新化の依頼を行っているところ、これを9月末までに対応し、更新又は更新なしの処理を行う。また、最新化がなされていない又は情報に誤りがあって、市町村から保育所等に対し、最新化・修正の指摘があった際には適切に対応する。適切に対応がされていない場合は当該年度の加算の算定は認めないものとする。

出典:令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項|こども家庭庁

加えて、令和8年7月以降、経営情報等の報告を所定の期限までに行っていない場合、基本分単価に減算措置が適用される仕組みが導入される予定です。ここdeサーチの情報最新化は、最優先で対応しましょう。

加算取得要件チェックリスト(全10項目)

【保育ICT推進加算の取得要件チェック(7項目)】

 確認項目備考
ICT活用責任者(窓口担当者)を1名決めている兼任可・専門資格不要
登降園管理をICTシステムで行っている紙の出席簿のみはNG
保護者への連絡をICTアプリ等で行っている一般メールのみは要確認
保育計画・記録をデジタルで作成・職員間共有している共有・更新機能が必須
実費徴収・保育料のキャッシュレス化を行っている今後の国や自治体の通知を要確認
自治体に国プラットフォームの導入状況を確認した未導入自治体は要フォロー
ここdeサーチの施設情報が最新状態になっている未更新は加算対象外

【減算回避のチェック(3項目)】

 確認項目備考
経営情報等の報告を期限内に提出している未提出は減算対象
自治体からのここdeサーチ修正指摘に対応済みである放置は減算リスクあり
財務情報の報告義務対象か否かを自治体に確認している施設規模により対象が異なる

\加算要件を満たすシステムを探している方へ/

保育ICT推進加算と補助金の併用戦略|受給できる年度と順番を徹底解説

現時点では、ICT補助金を活用してシステム導入を行った年度は加算算定の対象外となっております。

また、 「保育所等におけるICT化推進等事業」による補助を受け、システムの導入等を行った年度は本加算の算定はできないものとする。

出典:令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項|こども家庭庁

しかし順番を工夫することで、補助金と加算の両方を最大限に活用できます。

補助金と加算の関係を整理する

補助金と加算は同一年度に併用できません。また、加算は要件を満たし続ける限り、翌年度以降も継続して算定できます。

令和7年度令和8年度令和9年度令和10年度以降
ICT補助金交付
保育ICT推進加算開始継続継続
ポイントICT導入加算申請加算要件維持要件を満たす
限り継続

施設型の保育所が令和7年度に補助金でシステムを導入し、令和8年度から加算を取得した場合、令和8〜11年度の4年間で合計120万円(30万円×4年)の加算収入を得られます。仮に導入時のICT補助金が130万円だった場合、合わせて5年間で総額250万円相当の支援を受けられる計算です。

同時にご注意!「経営情報等の報告」未提出で減算になる新制度

令和8年度7月から「経営情報等の報告を行っていない場合の減算」が始まります。加算を取りにいく一方で、この減算を知らずに放置していると、せっかく得た加算分を帳消し以上に失いかねません。

減算の対象になりうるケース:

  • 経営情報(財務情報等)を所定の期限までに報告していない
  • 自治体から指摘を受けた修正対応を行っていない

ここdeサーチの運営状況情報の未更新が続くと、経営情報未報告と判断される可能性があるので、ここdeサーチの更新は優先的に対応しましょう。

経営情報等の報告義務の対象範囲や報告期限は施設規模・法人種別によって異なる場合があります。自施設が対象かどうかは、必ず管轄の市区町村の保育担当窓口にご確認ください。

参考:令和8年度 公定価格・基準等の見直し事項|こども家庭庁

令和8年度からの準備ロードマップ【今すぐできること】

準備の3ステップ

STEP 1:4機能の充足状況を確認する

現在使っているICTシステムが4つの機能(登降園・保護者連絡・計画記録・キャッシュレス)をすべてカバーしているか確認します。

システムベンダーに「令和8年度の保育ICT推進加算の要件を満たしていますか?」と直接問い合わせるのが最短ルートです。

STEP 2:自治体の国プラットフォーム対応状況を問い合わせる

管轄の市区町村の保育担当窓口に連絡し、「保育業務施設管理プラットフォーム」と「保活情報連携基盤」の利用申請状況を確認します。

STEP 3:ここdeサーチの情報を最新化する

自治体の保育担当窓口を通じて、施設情報の最新状態を確認します。定員・開所時間・職員体制・提供サービスなどに変更がある場合は、速やかに更新手続きを行ってください。

スケジュール感(令和8年度の主要マイルストーン)

時期対応すべき事項
加算制度開始まで①4機能充足の確認・不足分をICT補助金で導入
②ここdeサーチ情報の最新化
③経営情報等の報告の完了
④自治体への事前問い合わせ
令和8年4月〜加算算定の開始。自治体への届出・確認(詳細は自治体指示に従う)
令和8年6月目途こども家庭庁より国プラットフォームの具体的な活用要件が公表予定。内容を確認の上、対応を完了させる
令和8年度末加算の算定実績を確認。次年度に向けてここdeサーチの情報を再確認

📌 更新予定:国プラットフォームの具体的な活用要件については、令和8年中早期にこども家庭庁から正式な通知が出る予定です。最新情報はこども家庭庁公式サイトでご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. ICT活用責任者は専任でないといけませんか?

A. 専任は不要です。現在の職務と兼任してかまいません。保育士、副主任保育士、事務担当者、副園長など、既存の職員の中から「ICTの窓口役」を1名決めるだけで要件を満たせます。

特別な資格や高度なITスキルも求められていません。小規模施設では園長自身がICT活用責任者を兼ねるケースも想定されており、人員配置の柔軟性が確保されています。

Q2. 令和7年度にICT補助金を使ってシステムを導入した場合、令和8年度から加算を受けられますか?

A. 受けられます。補助金を使った「年度」は加算対象外となりますが、翌年度以降は加算の算定が可能です。

令和7年度(2025年度)中に補助金でシステムを導入した場合、令和8年度(2026年度)からは保育ICT推進加算の算定対象となります。

Q3. 保育業務施設管理プラットフォームをうちの自治体がまだ使っていない場合はどうなりますか?

A. まず自治体への問い合わせが最優先です。早めに問い合わせることで自治体側の対応を促すきっかけにもなります。

基本的に、自治体が保育業務施設管理プラットフォームを利用していない場合は、加算認定が受けられません。ただし、自治体が独自システムとCSVによるデータ連携を行うことで保育業務施設管理プラットフォームを活用している場合は、加算認定を受けることができます。

Q4. 小規模保育事業(地域型)の加算額は施設型と同じですか?

A. 異なります。地域型の加算額は年18万円、施設型は年30万円です。4つの算定要件は施設型・地域型ともに同じです。

月額1万5,000円以下のシステムを使っている施設なら、加算だけでシステム費を全額カバーできる計算になります。

Q5. ここdeサーチの更新とは何をすればいいですか?

A. 管轄の市区町村の保育担当窓口に連絡するところから始めてください。更新が必要な情報は施設の定員数・開所時間・職員体制・提供しているサービス内容などです。更新手続きは管轄の市区町村を通じて行います。

Q6. 幼稚園も保育ICT推進加算の対象になりますか?

A. 対象です。幼稚園は「施設型」として保育所・認定こども園と同じ区分に位置づけられており、要件を満たせば年30万円の加算を算定できます。

保育ICT推進加算に関するよくある質問は、下記の資料にまとめられています。ぜひご覧ください。
参考:公定価格全般FAQ(第30版)|こども家庭庁

まとめ ー 保育ICT推進加算を確実に取得するために

令和8年度(2026年度)から新設予定の保育ICT推進加算は、ICTを「導入しているか」ではなく、「継続的に活用しているか」を評価する制度です。

施設型で年30万円、地域型で年18万円の加算は、ICT利用料を大きく補う安定的な支援となり得ます。一方で、4機能の活用、ICT活用責任者の配置、ここdeサーチの情報更新、国プラットフォームへの対応など、満たすべき要件も明確です。

特にここdeサーチ未更新や経営情報等の報告漏れは、加算不可や減算につながる可能性があります。令和8年度から加算を確実に取得できるよう、今のうちから確認と行動を進めましょう。

\加算取得に向けて情報収集している方へ/

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