
「ICTシステムを導入したいが、費用面が不安」という園長先生や法人理事長は少なくありません。実は、保育施設のICT化には国・自治体から複数の補助金が用意されており、うまく活用すれば自己負担を大幅に抑えることが可能です。
本記事では、保育園で使えるICT補助金の種類・補助額・申請の流れを整理し、制度ごとの違いと注意点まで詳しく解説します。
目次
保育園のICTシステム導入に使える補助金は主に3種類
補助金には「こども家庭庁のICT化補助金(保育特化型)」「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)(全業種対象・経済産業省)」「文部科学省の幼稚園向け補助金」の3種類があります。施設種別によって使える制度が異なるため、早めに自園の対象制度を確認しておきましょう。
3種類の補助金を比較表で確認する
| 制度名 | 対象施設 | 補助上限額 (目安) | 補助率 | 所管 |
| ICT化補助金 | 認可保育所・認定こども園等 | 最大130万円 | 国1/2・市区町村1/4 | こども家庭庁 |
| デジタル化・AI導入補助金 (旧:IT導入補助金) | 中小企業全般(保育園含む) | 最大450万円 (通常枠の場合) | 原則1/2以内 (通常枠の場合) | 経済産業省 |
| 幼稚園向けICT補助金 | 幼稚園・幼保連携型こども園 | 要確認 | 要確認 | 文部科学省 |
補助額・補助率はいずれも年度や自治体によって変動するため、申請前に最新情報を各窓口で確認することが重要です。
認可保育所・認定こども園・幼稚園で使える制度が異なる
施設種別によって申請できる補助金の種類は異なります。認可保育所・幼保連携型認定こども園・地域型保育事業はこども家庭庁のICT化補助金が主な対象です。
幼稚園は文部科学省の補助制度の対象となります。複数施設を運営する法人では、施設種別ごとに申請先を使い分けることになるため、法人全体で申請スケジュールを一元管理する体制を整えておくと、申請漏れを防ぐことができます。
こども家庭庁のICT化補助金(保育所・認定こども園向け)

保育施設に特化した補助金として最も活用実績が多いのが、こども家庭庁が所管する「保育所等におけるICT化推進等事業」です。補助率は国1/2・市区町村1/4で、事業者負担は原則1/4となります。
対象施設・補助額・補助率
対象となる施設は、認可保育所・幼保連携型認定こども園・地域型保育事業(小規模保育・家庭的保育・事業所内保育)です。なお、居宅訪問型保育事業は対象外となっています。
補助上限額は導入する機能数と端末購入の有無によって段階的に設定されており、最大で1施設あたり130万円(端末購入等を含む場合)となっています。
補助対象となる4つの機能と補助額の段階
ICT補助金の対象機能は、①保育に関する計画・記録、②保護者との連絡、③登降園管理、④実費徴収等のキャッシュレス決済の4つです。機能数に応じた補助上限額は以下のとおりです。
| 導入機能数 | システムのみ | 端末購入等を含む場合 |
| 1機能 | 20万円 | 70万円 |
| 2機能 | 40万円 | 90万円 |
| 3機能 | 60万円 | 110万円 |
| 4機能 | 80万円 | 130万円 |
なお、過去にICT補助金を活用したことがある施設でも、令和6年度に追加された「実費徴収等のキャッシュレス決済システム」については、新たに申請できる場合があります。
東京都の上乗せ補助(都内施設のみ)
都内の認可保育所等は、国の補助に加えて東京都独自の上乗せ補助を利用することができます。都単独補助では補助率が最大3/4(自己負担1/4)となり、補助上限額も最大200万円程度と手厚い内容になっています。
国補助と都補助を組み合わせることで、実質的な自己負担をさらに軽減できるため、都内施設は必ず都の制度も確認しましょう。
企業主導型保育施設向け:運営支援システム導入加算
企業主導型保育施設は認可外保育施設に分類されるため、こども家庭庁のICT化補助金の対象外となります。その代わり、「運営支援システム導入加算」として最大100万円を全額助成する制度が設けられています。
対象となる機能要件は上述の4機能に準じており、中小企業が設置・運営する施設が対象となります。企業主導型施設はこちらの制度の活用を検討しましょう。
ICT化補助金の申請の流れ
補助金申請において最も重要な原則は、「交付決定通知を受け取る前にシステムを発注してはならない」という点です。交付決定前に発注・契約・支払いを行った費用は補助対象外となり、全額自己負担になるリスクがあります。手順を正しく理解したうえで進めましょう。
【申請から補助金交付までの流れ】
STEP1:所属自治体に実施有無・時期を確認
STEP2:申請書類(実施計画書・見積書等)を準備・提出
STEP3:交付決定通知を受け取る ※ここまで発注不可
STEP4:システムの発注・契約・支払を実施
STEP5:仕様書・領収書等を自治体に提出→補助金交付
申請時によくある失敗と注意点
申請でつまずきやすいポイントを事前に把握しておくことが大切です。最も多い失敗は「交付決定前にシステムを発注してしまうケース」で、この場合は補助金が受けられなくなります。
また、補助対象外の機器や費用(汎用性の高すぎるPCや私的利用が疑われる備品など)を申請に含めてしまうと、計画の修正や再提出を求められ、審査が大幅に遅れる原因となります。
実施計画書や見積書の準備には余裕を持ち、自治体の最新の募集要項を必ず精査しましょう。
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)とは

デジタル化・AI導入補助金は、保育に限らず中小企業全般を対象とした補助制度です。補助額が大きく、ICT化補助金とは目的も異なるため、自園の状況に応じて使い分けや併用を検討することが大切です。
参考:デジタル化・AI導入補助金2026 ポータルサイト
参考:【企業担当者必見!】IT導入補助金について解説! | 株式会社SPC
補助額と対象ツール
デジタル化・AI導入補助金では以下の5種類の申請枠が用意されています。
・通常枠
・インボイス枠(インボイス対応類型)
・インボイス枠(電子取引類型)
・セキュリティ対策推進枠
・複数社連携デジタル化・AI導入枠
「通常枠」は、保育施設を含む中小企業が業務効率化のためにITツールを導入する際に活用できる枠です。
| 業務プロセス数 | 補助額 | 補助率 |
| 1プロセス以上 | 5万円以上150万円未満 | 1/2以内、2/3以内※ |
| 4プロセス以上 | 150万円以上450万円以下 | 1/2以内、 2/3以内※ |
※補助率は、原則として対象経費の1/2以内です。ただし、令和6年10月から令和7年9月までの間で3か月以上、令和7年度改定の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上の場合は、2/3以内になります。
対象となるのは、事前に登録されたIT導入支援事業者が提供するITツールです。保育業務に対応した一部のシステムがIT導入補助金の登録ツールとして認定されており、保育園でも活用できます。
なお、補助内容や補助上限額は年度ごとに変更される場合があるため、申請前に必ず公式サイトで最新情報を確認してください。
デジタル化・AI導入補助金の申請の流れ
デジタル化・AI導入補助金の申請は、他の補助金より手続きが複雑です。特に「GビズIDプライム」のアカウント取得に約2週間程度かかるため、申請を考えている場合は早急に着手することが不可欠です。
GビズIDの取得遅延が申請締め切りに間に合わない最大の原因となるため、最初のステップとして最優先で対応しましょう。
STEP1:GビズIDプライムアカウントを取得(一般的に約2週間かかり、混雑時はさらに時間がかかる可能性があるため早めに着手)
STEP2:SECURITY ACTIONを宣言
STEP3:IT導入支援事業者・ツールを選定
STEP4:IT導入支援事業者と協力して交付申請
STEP5:交付決定後に発注・契約・支払
STEP6:実績報告書類を提出→補助金交付
文科省の幼稚園向けICT化補助金

文部科学省は、幼稚園および幼保連携型認定こども園を対象としたICT化支援の補助制度を設けています。こども家庭庁のICT化補助金とは所管が異なり、申請窓口も市区町村ではなく都道府県となる点に注意が必要です。
対象施設・補助額・補助要件
対象となるのは、私立幼稚園および幼保連携型認定こども園です。補助の対象となる経費は保育・教育業務の効率化に資するICTシステムの導入費用で、システムの利用料・機器購入費・インターネット環境整備費などが含まれます。
補助額・補助率は都道府県によって異なる場合があるため、所在地の担当窓口に最新情報を確認してください。
申請窓口と自治体による違い
補助金を検討するうえで押さえておきたいのが申請窓口の違いです。認可保育所が「市区町村」に申請するのに対し、幼稚園向けの補助金は「都道府県」が窓口となります。
幼保連携型認定こども園の場合は、施設の認可形態によってどちらの補助金が適しているか、あるいは併用が可能か、都道府県と市区町村それぞれの担当窓口へ事前にすり合わせを行うことが、スムーズな受給の鍵となります。
幼稚園向けICT化補助金の申請の流れ
STEP1:所管の都道府県担当窓口に実施有無・時期を確認
STEP2:申請書類(実施計画書・見積書等)を準備・提出
STEP3:補助金交付決定通知を受け取る ※ここまで発注不可
STEP4:システムの発注・契約・支払を実施
STEP5:証拠書類を提出→補助金交付
こども家庭庁補助金の申請窓口が市区町村であるのに対し、文科省補助金の申請窓口は都道府県です。この違いを混同すると申請書の提出先を誤るリスクがあるため、注意してください。
補助金を活用した場合の自己負担はいくら?

補助金の仕組みを正しく理解すれば、ICT導入にかかるコストの見通しが立てやすくなります。まずは「どの補助金が使えるか」を把握することが第一歩です。
ICT化補助金を使った場合、自己負担は原則1/4
こども家庭庁のICT化補助金は、国が1/2・市区町村が1/4を負担するため、事業者の実質負担は総費用の1/4が原則となっています。
たとえば、総費用が100万円の場合、自己負担は25万円程度が目安です。東京都の上乗せ補助を活用できる都内施設では、補助率が3/4となるケースもあり、さらに負担を抑えることができます。
自治体によって上乗せ補助の有無が異なるため、所在地の制度を事前に調べておくことが重要です。
具体的な金額は園の規模・機能数・自治体によって異なる
実際の自己負担額は、選択する機能数や端末台数、自治体独自の上乗せ補助の有無によって大きく変わります。園ごとに最適なパッケージや台数が異なるため、一律の金額を算出するのは困難です。
自園の計画に合わせた正確なコストを把握するには、補助金制度に精通したシステム会社へ個別見積もりとシミュレーションを依頼するのが最も確実です。
ウェルキッズ(WEL-KIDS)では、これまでの豊富な申請サポート実績に基づき、最適なプラン提案を行っています。まずは無料相談で、具体的な費用感を確認してみるのがおすすめです。
まとめ
保育園のICTシステム導入には、こども家庭庁・文部科学省・経済産業省それぞれの補助金が活用できます。施設種別によって使える制度が異なるため、まず自園がどの補助金の対象かを確認することが重要です。
補助金を正しく活用すれば費用負担を大幅に軽減でき、先生が保育に集中できる環境づくりへの第一歩が踏み出せます。申請手続きに不安のある方は、ウェルキッズ(WEL-KIDS)の無料相談をご活用ください。

